第十八話 初めての依頼を達成しました。
「助けていただき誠にありがとうございます。この方は、リンブルーム公爵家の令嬢、サラノア・リンブルーム殿下です。」
メイドさんに紹介を受けた公爵令嬢サマが口を開く。
「貴女が居てくれなければ私たちは盗賊達の慰め者になっていたことでしょう。窮地を救っていただき誠にありがとう存じます。貴方様のお名前は?」
物腰丁寧な人だなぁ。教養ってやつか。さすが公爵令嬢。
「平坂庵だ。イオリとでも呼んでくれればいいぞ。」
「イオリ様ですね。ここへは何をしに?」
「ただの依頼の消化だよ。終わったときに争いの声が聞こえたからね。首突っ込んだだけさ。」
ホントは見捨てようとしてました。なんて、口が裂けても言えねぇな。
「それではこれからお帰りなのですか?」
「まぁ、そうだね。護衛か?」
「は、はい。出来ればお願いしたく。」
「構わんよ。あ、報酬は貰うけどね?」
「それはもちろん正当な報酬を支払わせていただきます。」
「ならその依頼請け負った。」
「ありがとうございます!!」
そのまま、御者をしながら王都へ戻った。馬術習っといてよかった。
「何かお礼をさせていただきたのですが。」
王都に戻ってから言われる。
お礼。お礼なぁ。特にはいらないんだがなぁ。
「まぁ、特にはないから、気にしなくても構わんぞ。って言いたいところだがそうとも行かんよなぁ。」
助けて貰って何のお礼もありません、じゃ、貴族としての評判も落ちるだろうしな。
「それでは、リンブルーム公爵領にいらしたときは是非我が家をお尋ねください。取り敢えずは報酬としてこれを。」
大量の金貨の入った袋を渡される。おもっ。いくら入ってんだコレ。
金貨の量に驚きながらその場は離れた。
「ほ、ホントにコボルトロードまで狩ってきたんですね。」
「まあね。案外簡単だったぞ?」
「末恐ろしいですね。いや、すでにですね。あ、冒険者証を貸してください。ランクの更新をします。」
しばらく待って。
「はい、完了しました。C級への昇級。おめでとうございます。」
「ありがとねぇ。」
さて、いつ出発するかは知らんけど。取り敢えずいいとこ止まるか。金あるし。
すげぇな。異世界だからあんま期待はしてなかったけど金かけるだけあって高クオリティーだ。風呂もベットも食事も元の世界に全然負けてねぇな。
にしたって、やっぱ公爵令嬢に絡んだのは正解だったかもな。コネはあって困ることはねぇしな。セノアリアでなんかあったときも頼りやすいし。
さて、明日からはセノアリアへの一人旅だからな。はよ寝よ。
次回からやっと。やっと!セノアリア王国にいけます。まじでグダリ過ぎだろ。でも公爵家とのつながりは持っててほしかったんすよ。
因みにリンブルーム公爵家はバリバリの武闘派です。