第二話 やっぱり魔王討伐だった
本日は二本立てです
「汝らには魔王の討伐をお願いしたい。」
場所を変えて応接室。王様はそんなことを言ってから続ける。
「儂らの世界は今魔王によって危機にさらされておる。」
「魔王というと魔族の王、みたいな感じですか?」
そんな一河の質問に対して王様は首を振りながら言う。
「いや。確かに魔族の王も魔王と呼ばれているが儂の言う魔王はまた別の魔王だ。」
「別の魔王...?」
「しかり。その魔王はこの世界の外より現れた存在だ。その魔王は遙か昔の神話に伝わるもので、気まぐれに世界に現れてその悉くを破壊していく存在だ、一部では受信とも呼ばれておる。」
「それは...ごっつメンドそうやなぁ」
「その魔王を、私たちに倒してほしいと」
「汝らのような全く関係のないもの達に頼むのも心苦しい。しかし、我々も、もう召喚された勇者に頼むしかないのだ。」
王様は悲痛な表情を浮かべて言った。
「すみません。二、三日時間をいただけませんか?私たちもこの場で答えを出すことは難しいです。命のかかったことなので。」
倉敷さんの言葉に王様は表情を優しげなものへと変えて言った。
「それはもちろんだ。客室を用意してある故そこで結論が出るまでゆっくりしてくれ。魔王討伐を受けずとも城に住んで貰って構わない。無理を言っているのはこちらだからな。」
ん~、やっぱり空気が重いのは好かんなぁ。伏見もなんだかんだ黙りっぱなしだしな。取り敢えず最低限話は終わったし空気変えるか。
「魔王討伐云々はこれから私たちで話し合うとして、この世界のことについて教えてもらえませんか?金銭とか、地理とか」
そんな俺の言葉で王様は察してくれたようで、
「そういえば、汝らの名前も聞いてなかったな、すまぬな。取り敢えず儂の自己紹介からさせてもらおう。儂はここレヴィオル皇国の王、グレイビー・フォン・グレーリア・レヴィオルだ」
「私は、倉敷桜花です。」
「アタシは伏見心音....です」
「ウチは扇条綾香やで」
「一河花音です!」
「で、俺が、平坂庵です。」
「うむ...オウカ殿、ココネ殿、アヤカ殿、カノン殿、イオリ殿か。で、誰がイオリ殿は誰と付き合っているんだ?ん?」
にやけながら言う王様、空気変えるにはいいんだろうが、その話題はどうなんだ。
「えぇっ!?」
「ふぁっ!!??」
「あらあら」
「ほぅ」
ほら見ろ、倉敷さんと伏見はめっちゃ驚いてるぞ。それで扇条はどう言う反応だ。一河もまんざらそうな顔をするなや。
「ハハッ。俺は誰とも付き合ってませんよ。付き合う予定もありませんしね。」
「そ、そうですよ。」
「うんうん、イオリンと付き合うなんてあり得ないよー」
「しれっと心音は酷いこと言うなぁ」
「ええっ!?そんなことアタシ言った!?」
「無自覚かぁ。余計酷いなぁ」
「私はまんざらじゃないよぉ~、庵ぃ」
「ハッハッハ。一河。寝言は寝ていえよ?」
「ひどくない!?」
確かに空気は変わったな。ならいいか。いいのか?
「まぁ、取り敢えず部屋へ案内させよう。」
そう言って、使用人を呼ぶ王様。
「何かあれば彼女らに言ってくれ。」
頭を下げるメイドさん達、うん、きれいどころがそろってるね。あんま目を向けるのはやめておこう。おっと、女性陣からの視線が気持ち冷たい気がする。うん、ミテナイミテナイ。
いや、男ならしょうがなくない?
レヴィオル皇国はこの世界でも有数の大国です。異世界組は王様のことは基本的に王様呼びです。