第十五話 B級冒険者と喧嘩しました
「さて、じゃあ、始めようか。」
「はっ、負けそうになって命乞いしたって知らねぇからな!」
うーん、たいした自信だ。まぁB級らしいしなぁ。
「いつでもいいぞ。ほら、さっさと来い。」
「じゃあお望み通り行ってやるよ!!」
挑発に弱いのはいただけないなぁ。にしたって遅いな。あくびが出そうだ。
「そんなんじゃ蚊も仕留められんぞ~。」
躱しながら言う。おーおー綺麗な青筋浮かべちゃって。よくないねぇ。
B級つってもこんなもんかぁ。この程度ならさっさと仕留めるかぁ。
「ほっ、と。」
すれ違いざまに抜刀。相手は死ぬ。いや殺しはしてないけども。
「さて。戻ろ。」
組合内は騒然としている。まぁ、登録もしてない人間にB級が負けたらそうなるか。
「えっと、どこかの高名な剣士様のお弟子さんとか、ですか?」
「ハッハッハ、ただのちょっと強い一般人だよ。」
取り敢えずごまかす。まぁ、ばれてもいいけど隠しとくにこしたことはないか。
「で、登録っていい?」
「あっはい。全然だいじょうぶでしゅッ。」
おーおー、焦るな焦るな。舌かんだからか、ちょっと痛そうにしながら準備をする受付のおねーさん。
名前や使用武器などの情報を紙に書いていると、
「そ、それじゃあ。ここに血を一滴お願いします。」
受付のおねーさんに手のひらサイズの金属板を差し出しながら言われる。所謂、冒険者証ってやつか。
ナイフで指を切りつけて血を垂らす。
「ありがとうございます。ちょっと待っててくださいね。」
ちょっと待ってから。受付のおねーさんからさっきの金属板を差し出される。
「えっと、この金属板に魔力を流すと自分のプロフィールが映し出されます。身分証にもなるのでなくさないように気をつけてください。もしなくしてしまったら金貨2枚が必要になります。」
丁寧な説明ありがとうございます。
「これから、別の国に行こうと思うんですけど、いい国ないかな?」
受付のおねーさんに聞く。因みにこのおねーさんはイノリと言うらしい。同僚の人が呼んでた。
「そうですね、この時期だと北にあるセノアリア王国に行くのがいいんじゃないですかね。」
律儀に答えてくれるイノリさん。ほほぉ。北ねぇ。
「あ、セノアリアに行くんでしたら、いくつか受けてもらいたい依頼があります。」
ついでに依頼の斡旋もしてくれる。
「そうだねぇ。北に行くかぁ。ついでに依頼も全部受けるよ~。」
「ありがとうございます!あっ、その前に一個受けてほしい依頼があるんですけど。」
「受けてほしい依頼?」
「はい、イオリさんははっきり言って、F級の実力じゃありません。なので、レノアリアに行く前にC級くらいまでにはなってほしいんです。」
「それは、確かにそうだけど、ちょっと面倒だなぁ。」
「はい、そこでこの依頼です。この依頼はちょっと特別で、達成したらその時点でC級にランク上げさせていただきます。」
「あー、それなら、受けようかなぁ。」
「ありがとうございます!依頼の詳細ですけど、依頼内容としては、コボルトの群れの討伐になってます。」
「コボルトって言うと。犬っぽいアレ?」
「はい!犬っぽいアレです。」
コボルトの群れの除去かぁ。まぁちょうどいいか、対多数戦闘の訓練にもなるし。
「それじゃあ、明日行かせて貰うよ。」
「はい!あ、場所は西の森なのでお願いしました。」
依頼を請け負った後、宿に泊る。因みに宿は『リンリア亭』と言う。食事と風呂付きで一泊銀貨6枚だ。
食事は普通に旨かった。
さて、明日はコボルトの群れに突っ込むわけだし。早く寝るか。
ちょっと遅れましたね。申し訳ない。と言っても不定期謳ってるんだからどうなんだろう。
あ、因みに異世界のメンツは準備金として王家から金貨50枚貰ってます。日本円にして五万っすね。案外少ないけど異世界は物価が低いから問題ないですな。庶民は基本銀貨以下ですからねぇ。