第十三話 新魔法のお披露目をしようと思います
Side:倉敷桜花
「庵様を部屋から出していただけないでしょうか。」
そんな相談をメイドさんからされました。平坂君は一週間前「魔法の研究する」って言ってたけど、あれからずっと籠もっていたらしいです。
「三日前からは食事も食べていないみたいで、大丈夫だとは思うのですが、一応念のため声をかけていただけないでしょうか。」
そんなことを言われては断れない。
「分かりました。私たちに任せてください。」
「なに~?イオリンまだ部屋にいんの~。何してんのイオリン。」
「魔法の研究言ってたけど何しとるんかねぇ?」
「まぁ、庵のことだし大丈夫でしょ。」
皆と一緒に平坂君の部屋へ行く。
「平坂君。居ますか。」
そう、声をかけると、目元に隈を浮かべた平坂君が出てくる。
「あぁ、君たちか。どした?」
いつもより数トーン低い声でいう平坂君。これが素なんでしょうか?やばい、ドキドキする。この平坂君好きかもしれない。
こほん、ちょっとドキドキしている心臓をおちつけながら
「メイドさんが一週間出てこないから声をかけてくれって言われまして。」
「もう一週間もたってたんか。メイドさんに謝っとかないとな。君たちもすまんな。手間賭けさせて。」
丁寧に謝罪する平坂君。
「ねぇ、庵。そんなことよりどんな魔法開発したの?」
ワクワクしながら聞く花音ちゃん。
「すまん。明日でいいか?今は超眠い。」
平坂君がそんなことを言うので、その場はお開きとなった。
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翌日、訓練場に来た私たち。
「取り敢えず、三つくらい紹介するか。」
「え?全部で何個作ったの!?」
「ざっと八個」
八個.....たった一週間で八個も新しい魔法生み出すなんて。
「まず一つ目、血操魔法。疑似血を操って武器を生成したり相手を攻撃したりする魔法だ。」
平坂君の手に赤い刀が現れた。
「こんな感じでな。案外使いがってのいい魔法だな。」
「相手の血を操ったりも出来るの!?」
「無理だな疑似血だしな。まぁ相手を切ったりして出た血なら使えるが。」
自分で武器を作れるのは結構強いよね。
「次に二つ目だが、これは、クトゥルフ魔法だ。強固なイメージと相応の魔力があれば、新魔法作れるんじゃねって発想から生まれた新魔法系統だ。」
「クトゥルフってあのクトゥルフ神話?」
クトゥルフ神話ってなんだろ?平坂君と花音ちゃんは分かるみたいだけど他の子はわかんないみたい。
「まぁ、名前だけだけどな。理由はかっこいいからだ。後悔はない。」
「一個見せるとすればそうだな、『腐壊の右手』」
平坂君が、訓練場に設置してある的に触れる。その瞬間、的は腐ったように溶ける。
え.....腐った?溶けた?
「え!?どうなってんの!?」
花音ちゃんが平坂君を問い詰める。
「簡単に言うと腐食だな。腐食耐性のある存在はそう多くないだろうからな。生み出してみた。」
簡単に言うけど絶対それって、禁忌級の魔法じゃない?
「ほかには!?」
「他のクトゥルフは、まぁいつか追々見せるときが来るだろう。」
「で、次の魔法だが....」
平坂君が次の魔法を紹介しようとしたとき綾香ちゃんが
「アンタ、魔力は大丈夫なんか?」
と聞く。そういえばそうだ。平坂君は魔力が少ない。あんな高度な魔法を使って魔力切れにならないのはおかしい。
「そう、それが三つ目の魔法だ。まぁこれは魔法って言っていいのかどうか微妙だが。円環魔法って言う常時発動型の魔法だ。効果に関しては簡単で使った終わった後の魔力を再び利用できる魔力に変換する魔法だ。」
「て、てことは、や、魔力切れを起こすことがなくなる言うことか?」
「簡単に言えばそうなるな。」
「チートじゃんそんなん!?」
「やっば。」
全員が驚愕する。
「ハッハッハ。出来てしまったものはしょうがない。」
「いや、てかそもそも使い終わった後の魔力って何!?」
その通りだ。使った後の魔力なんて概念聞いたことがない。
「え?そこから!?」
本気で驚愕している平坂君。
「マジか。まあ本来使えないものだしな。そりゃそうか。利用後の魔力に関してはまた今度な。因みにクトゥルフ魔法の一部もこの魔力を利用するな。」
「え?めっちゃ気になるんだけど。」
「ここで話すと長くなるからなぁ。またどっかで俺の部屋にでも来るといい。一から説明してやる。」
平坂君はそう言って去って行く。ホントに彼は何者なんだろうか。やっぱり一回ちゃんと話した方がいいよね。私はそう決意した。にしたって、ホントに一週間で八個は異次元だよ。
と言うわけで一部の魔法が公開されました。後は、追々戦闘時に使ったりするでしょう(多分!!)