表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Dクラスな幻想郷  作者: ぐんそー
幻想郷を旅しよう
15/18

14話:蒐める者

お 燐「んで、私から何を聞きたいんだっけ?」


 そう言いながら鴨汁うどんを啜っているのは、お燐という赤髪の少女であった。旧地獄という土地にあるにある地霊殿と呼ばれる屋敷のペット?をやっているそうだ。高いやつ頼みやがって、とため息をつきながら霊夢が返した。


霊 夢「確か、あなたはさとりから集めた死体について調べるように命令されてたわよね」


 お燐は何をいまさらといった顔をしたが、俺に対しての説明を含んでいることを悟ったのか、こちらをちらりと見て、また霊夢に視線を戻して頷いた。


霊 夢「それとは別に怪しい人を見た、って聞いたんだけど、どういうこと?」


お 燐「ああ、そうだったね。実は旧都に人間を見つけたんだよ」


霊 夢「旧地獄に……?」


お 燐「そう、おかしい話でしょ」


霊 夢「それは、本気で言ってるの?」


お 燐「私がそんな嘘ついて何か得があると思う?」


 確かにそうね、と霊夢は言いながらざるそばを食べる手を速めた。


いちまる「急ぐのか?」


霊 夢「なんとなく、急がなきゃいけない気がするの」


 俺も、せいろそばを食べる手を速めようとした。


霊 夢「ああ、あんたは今回はついてこない方が良いわよ。旧地獄はさすがに危なすぎるわ」


 旧地獄に人間がいるのはおかしい、というのはそれだけ人間が行くには危険な場所だったからだそうだ。


いちまる「わかった。その間何か俺にできることはあるか?」


霊 夢「あー、そうね。紫があなたのために長屋を用意してくれたんだけど、そこで待っててもらおうかしら」


 俺は了承し、霊夢から里の地図を受け取った。そして食事が終わると、霊夢は代金を払って人間の里を飛び立っていった。机には、蕎麦湯を飲んでいる俺とお燐の二人が残った。


お 燐「いやぁ、ここの蕎麦は美味いね」


いちまる「本当だな。こんなにうまい蕎麦は初めてだよ」


 お燐は気さくに話しかけてくるため、すでに打ち解けた雰囲気になっていた。


お 燐「ところで、貴方は幻想郷の外から来た人なのかい?」


いちまる「ああ、そうだよ。妖怪として俺を襲うかい?」


 俺はそう言って蕎麦猪口を傾けた。


お 燐「外の世界に帰るって言ったら襲うかな」


 お燐は木製のお玉で鴨汁の器を掬った


いちまる「じゃあ、幻想郷に残るかな。()()()くれるんだろ?」


 くだらないジョークだったが、お燐は笑って返してくれた。


お 燐「中々面白いこと言うじゃん。ただ、妖怪は里の人間を襲ってはいけない、これは幻想郷のルールだから安心して過ごしなよ」


いちまる「ありがとう。ここは良い場所だな」


 俺は蕎麦湯を飲み干した。


お 燐「珍しいな。大抵の人は帰りたがるものなのに」


 お燐も器が空である。それはそろそろ店を出る時間であることを表していた。


お 燐「じゃあ、私はそろそろ行くよ。貴方も自由に里を歩き回ってみたいでしょう?」


いちまる「そうだな、俺も店を出るよ」


 こうして俺はお燐に別れを告げ、長屋を探すために歩き始めた。



◆◇◆◇



 一方、香霖堂ではブライト博士と香霖が議論を白熱させていた。


ブライト「なるほど、————は魔術的にはそう解釈することもできるのか」


霖之助「科学的に考えたら————ってこともあり得るのか」




ブライト「それは違う、————はおかしいだろう」


霖之助「これらのことを考えると、————しか有り得ないんだよ」


 このようなやり取りを延々と続けていた。そして、たまたま居合わせた私もそのやり取りを延々と聞かされている。香霖堂に来た時、二人がたまたま魔法についての話題を議論していたから話の輪に入ったものの、気が付いたら興味のない話題に移っており、抜け時を失ってしまったのである。

 何も言わずに抜け出してしまおうとゆっくり立ち上がり靴を履こうとしたところに、香霖堂に向かって歩いてくる男の影を見た。


???「やあやあ霧雨のお嬢さん。こんにちは」


 「霧雨店の娘」みたいな言い方をしないでくれ。私は黒い着物の男に対して露骨に眉をしかめた。


魔理沙「誰だお前、その呼び方はやめろよ」


 空気の変化を察知した香霖は、議論を中断して店内の方に顔を出した。


霖之助「またお前か。今日は何の用だ?」


 霊夢や私が店に遊びに来た時より確実にトゲのある口調で香霖は応えるが、それを全く意に介しない様子で男は答えた。


???「お忙しいようですので本題に入りましょうかね。何か変わった様子はありませんか? 特に、変なうわさ話とか」


霖之助「あんたに話すようなことはないよ。強いて言うなら、あんたが今日ここに来たことかな」


 早く帰ってほしいと言わんばかりに香霖が返すと、その男は軽く笑った。


???「はっはっは、そうですか。では、私は失礼します」


 こう言うと、男は踵を返して帰っていった。なんなんだ、あいつ。私がこう思っていると、隣で香霖が大きなため息をついた。


霖之助「やっと帰ったか」


魔理沙「なあ、あいつなんなんだ? いきなり突っかかってきて好き勝手言いやがって」


霖之助「ああ、あいつらは蒐集院の連中だよ。出現してきた、妖怪とかを捕まえて収容する集団だ。ああいうのは幻想郷の秩序が乱れるからやめて欲しいよ」


 居間で霖之助が戻るのを待っていたブライト博士が顔を出した。


ブライト「最近だと? 俺の認識では、蒐集院は財団が来るより前から日本にいたはずだが」


 霖之助は大きく伸びをした


霖之助「そうなのか。でも幻想郷で蒐集院の動きが大きくなってきたのは最近だな。そんなことより、議論の続きを始めようじゃないか」


魔理沙「ああ、そうだ。予定を思い出したから私は帰るぜ」

蒐集院とは、財団日本支部の前身です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 蒐集院の過激派かあ、面倒ごとがおきるな(確信)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ