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エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します  作者: 一色孝太郎


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第95話 経過報告ライブをしてみた(後編)

2023/06/15 リリスの最後のまとめのセリフのミスを修正しました

 リリスの呼びかけに、次々とコメントが流れていく。


「たくさんのアドバイス、ありがとうございます。それじゃあ、読んでいきますね」


 二度目ということもあってか、リリスは落ち着いた様子でコメントを拾い始めた。


「えっと、なんちゃんさんコメントありがとうございます。事件は現場で起こっているけど裏切り者は上司、ですか? 上司っていうと副長さん、それから警備隊の隊長さんぐらいですよねぇ。でも副長さんは今回私たちが踏み込むのがバレてなかったのを考えると違う気がするので、ということは隊長さんですか? 隊長さんってどのくらい報告を受けているんでしょうねぇ」


 リリスはこてんと首を(かし)げた。


「えっと、あと睡眠魔法が使えるなら催眠魔法も親戚、ですか? 催眠って、こう、人を操って命令聞かせちゃう、みたいなやつですよね? どうなんでしょう? このチャンネルにも出てもらった聖女レティシア様に聞いてみたんですけどね。そういうのは難しいって言っていたので、多分難しいんじゃないかなって思います。ごめんなさい」


 リリスはそう言うと、申し訳なさそうに手を合わせて謝った。その仕草にリリスの胸がたゆんと揺れ、ワンテンポ遅れてそれを指摘するコメントが流れてくる。


「え? ちょっと、やだぁ。狙ってなんかいないですよ。忘れてください。はい! 次です!」


 恥ずかしそうに抗議し、リリスは話題を戻した。


「ちょっとアレさん、コメントありがとうございます。なるほど。やっぱりグループごとに違う情報を流すんですね。うーん。でも私たちがメインの捜査チームなので、ということは一人一人に違う情報を流すって感じですかねぇ。えっと、どうしたらいいんでしょう……」


 リリスは困っているような表情を浮かべている。


「あ! ナルアキさんコメントありがとうございます。えっと、警備隊の信用のおける人ですか? えっと、誰が信用できるんでしょう……。あ! 司法取引ですか? そうですねぇ。それはアリな気がしますね!」


 リリスはいいことを聞いたとばかりに目をキラキラと輝かせる。


「筆跡鑑定で証拠ですか。そうですね。たしかに! 証拠を撮影しておけばいいんですもんね! ナルアキさんありがとうございます! がんばります!」


 リリスは両手で小さくガッツポーズをした。か細い両腕の間で大きな胸が再びたゆんと揺れ、それに対して「あざとい」「かわいい」「わざとだろう」「あざとかわいい」などといったコメントが流れてくる。


「え? え? わ、わざとじゃないですよ。もうっ! つ、次ですっ!」


 リリスは顔を赤くし、恥ずかしそうにしながら話題を戻す。


「えっと、げ……じゃなかった。原幌平晴(はらほろひらはる)さん、コメントありがとうございます。捜査関係者全員にカメラ! たしかに! でもカメラがあるわけじゃないですし――」


 リリスがそう言った瞬間、リリスの目の前に一台のハンディカムが突如現れた。


「ひゃっ!? な、何? え? え?」


 次の瞬間、リリスはぼーっとした様子で虚空を見つめ始めた。その様子を心配したコメントと、ハンディカムが突如現れたことを「ご都合主義」などと揶揄するコメントが入り混じって流れていく。


 しかしリリスが一向に戻ってこないことに、心配するコメントの割合が多くなり、続いて機材トラブルを揶揄するコメントが散見されるようになる。


 それから一分ほどでリリスの目の焦点が定まり、カメラに向かって話し始める。


「えっと、すみません。記録の女神アルテナ様に呼ばれてちょっとお話していました。それでですね。この記録の宝珠を一つだけもらっちゃいました。これを使って犯人を追い詰めてみようと思うんですけど、誰に任せればいいですかね? 捜査チームの人だとあんまり意味なさそうですし、警備隊の人は誰が裏切り者か分からないですし……」


 リリスが困っていると、再び様々なコメントが流れてくる。


「えっと、にっしーさんコメントありがとうございます。え? 聖女様にお願いすればいい? たしかに! レティシア様なら信用できる人を知っていそうですもんね。ありがとうございます!」


 リリスはニッコリと微笑んだ。


「え? 現役の警官の人が隣にいるんですか? え? え? 本当ですか? 情報を全部知っている人は誰か、ですか? そうですね。捜査班の人たちと、あとは副長くらいだと思います。え? 副長はどんな人か? ですか? そうですね。ものすごく規律に厳しい人で、前に外で魔法の練習をしていたら、警備隊の人たちが私に放火だって濡れ衣を着せてきたんです。それで、その人たちは他にも悪いことをしていて何があっても死刑だからって、その場で処刑しちゃったんですけど、いつもそのくらい厳しい人なんですよ」


 すると、その場で処刑という言葉に正義だというコメントとドン引きしたというコメントが混ざって流れてきている。


「え? その場で処刑しちゃダメ? でもこの国ではそういう風にするって決まっているみたいなんですけど……え? 隣にいる現役の警官の人があり得ないって言ってる? そうなんですか?」


 すると「共犯者がいる、仲間内で不正を揉み消しているなどあり得る。裁判で証言させる必要もあるので、やむを得ない場合を除いてその場で殺しては絶対にダメ」とコメントが返ってきた。


「あ……たしかにそうですね。そういえば司法取引っていうアイデアをいただきましたけど、あの捕まった人たちってどうなってるんでしょうねぇ。ちょっと確認しておきます!」


 リリスはそう言うと、画面外に腕を伸ばした。恐らくコメントを巻き戻して確認しているのだろう。


「……んー、はい。それじゃあ皆さん、今日も相談に乗ってくれてありがとうございました。司法取引をするのと、証拠書類は撮影しておく、それからこのハンディカ……記録の宝珠は聖女レティシア様に相談してみます。あとは隊長さんが裏切りの者可能性も探ってみますね」


 リリスがニッコリと微笑みながらお礼を言い、ハンディカムにしか見えない記録の宝珠を見せてきた。すると「リリスちゃんがんばれ~」などといった励ましのコメントの他に「ハンディカムwww」などといったコメントも次々と流れてくる。


「ありがとうございます。それじゃあ、今日はこのへんで配信を終わろうと思います。皆さん、本当にありがとうございました。おやすみなさい。バイバーイ」


 リリスは笑顔で左手を振ると、右手を画面外に伸ばした。すると配信がプツリと途切れ、黒い画面となったのだった。

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