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エロフに転生したので異世界を旅するVTuberとして天下を目指します  作者: 一色孝太郎


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第63話 温泉に入ってみた

「異世界からこんにちは。リリス・サキュアです♪」


 画面の中のリリスはいつもの白いワンピースを着ており、その背後には大海原が映っている。


「私は今、リオロンという小さな港町の外れにやってきています。見てください、この大海原」


 すると画面がゆっくりと移動し、リリスの周囲をぐるりと一周した。どうやらリリスはごつごつとした白い岩場に立っているようで、十メートルほど先では穏やかな波が岩にぶつかっては砕けている。


「今日はですね。なんとこの先にものすごくいい場所があるので、皆さんにも紹介したいと思います。というわけで、行ってみたいと思います」


 リリスはそう言っていたずらっ子のような笑みを浮かべると、岩場に作られた道を歩き始めた。


「ここは村の女性もたまに来るんだそうですよ。だから、こうしてちゃんと道が整備されているのはありがたいですよね」


 歩きながら画面に向かって語り掛けるリリスだったが、その胸元の大きな白い膨らみがたゆんたゆんと揺れて存在感を主張している。


「あっ!」


 リリスは何かに(つまず)き、バランスを崩した。


「えへへ、危なかったです。いくら道が整備されていても岩場ですもんね。足元に気をつけなくっちゃ」


 リリスはやや顔を赤くしつつ、照れ隠しのような笑みを浮かべながらそうカメラに向かって(つぶや)いた。


「それじゃあ、気を取り直して」


 そう言うとリリスは慎重な足取りで岩場を歩き始めた。それからリリスが歩く場面を移しながらゆっくりと画面はフェードアウトしていく。


 次に画面が戻ってきたとき、リリスはすだれのようなものの前に立っていた。


「はい、到着しました。皆さん、ここ、なんだと思いますか?」


 リリスは微笑みを浮かべながらカメラ目線で問いかけ、そのまま数秒間、じっと見つめ続けてくる。


「それはですね。じゃんっ! なんと温泉なんです!」


 リリスはそう言ってすだれのようなものの反対側に移動した。するとそこにはなんと、人工的に整備されたと思われる水たまりがあり、湯気が立ちのぼっていた。


「どうですか? なんと異世界にも温泉があったんです。しかもここ、天然温泉でかけ流しなんですよ! すごくないですか?」


 リリスはやや興奮気味にその魅力を伝えてくる。


「さあ、見てのとおり、今は誰も入っていません。というわけで、早速入浴してみようと思います」


 リリスがそう言うと画面は再びフェードアウトし、次に画面が戻ってくるとベージュ色のバスタオルを巻いたリリスの姿が映し出された。リリスの長い金髪はアップにまとめられており、普段とは違った色気を放っている。


「それじゃあ、掛け湯もしたので早速入ってみようと思います」


 そう言ってリリスはそろりそろりと湯船に近づき、つま先をそっとお湯につけた。


「んん、あったかいですね。そのまま入っちゃいましょう」


 緩んだ声色でそう言うと、そのままリリスは湯船にその身を沈めた。


「あぁ、気持ちいい……」


 リリスは心底気持ちよさそうにそう呟いた。画面はリリスの顔がアップで映っており、湯面にはリリスのバスタオルに(くる)まれた肢体が波でゆらゆらと揺らぎながらぼんやりと映っている。


「あぁ……」


 リリスは再び気持ちよさそうにため息をついた。真っ白なリリスの肌はお湯で温められた影響からか、まるで桃のようにほんのりと朱を帯びており、なんともすさまじい色香を放っている。


「あ!」


 突然声を上げたリリスは慌てた様子で後頭部に手をやった。


「髪の毛、濡れちゃいました。長いから乾かすの、大変なんですよね」


 そう言って濡れたしまった髪をカメラに向かって見せてきた。


「でも、仕方ないですね。こんなに気持ちいんですし、それにこんな雄大な景色が見られる温泉、そうそうないですよね」


 リリスはそう言うと背を向け、湯船の海側へ移動して景色を眺め始めた。


 画面には大海原とリリスのアップにまとめられた金髪の頭、白いごつごつとした岩と湯船、そして雲一つない青空が映し出されている。湯船以外に人工物は何一つない。


 すると不意にリリスが画面のほうへと向き直る。


「どうですか? ものすごくいい温泉だと思いませんか?」


 リリスはいつもどおりの可愛らしい笑顔でそう語りかけてきたが、先ほどよりも顔が赤くなっている。


「えへへ、ちょっとのぼせてきちゃったかもしれません。そろそろ上がろうと思います」


 リリスがそう言うと画面はフェードアウトし、次に画面が戻ってくるとリリスはいつもの白いワンピース姿に戻っていた。だが髪はアップのままで、わずかに上気した肌と相まっていつもとはまた違った色気を漂わせている。


 リリスの背後には先ほどまで彼女が入っていた湯船と大海原が映っている。


「というわけで、今日は異世界の温泉に入ってみましたがいかがだったでしょうか?良かったらコメント欄で感想とか、教えてもらえると嬉しいです」


 リリスはそう言って両手を胸の高さまで上げ、人差し指を下に向けて上下させる。


「いいねボタン、チャンネル登録もよろしくお願いします。それじゃあ、また会いにきてくださいね。バイバーイ」


 リリスは笑顔で右手を振り、動画はそこで終了するのだった。

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