表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/20

8話:砂穴石柱コンボ

2020/12/31

タイトルを少し変えました


「わっはっは! 何を言い出すかと思えば。魔王は勇者様によって討伐されたのだ! それにもし仮に生きていたとしてもこんな小屋に住んでいるはずがあるまい!」


 オッサンが笑いながらそう言う。うん。俺も同意見だよ。


 でも住んでいるんだよなあ……。


「ですが、なぜでしょうか……貴方からは魔王と似た匂いを感じます」

「こんな石像にですか? まさか……」


 舐められてるなあ……。まあいいけど。


「とにかくサンツォ、私達は休みましょう。一日歩き通しで、少し疲れました」


 そう言って、アストラエが家の壁にもたれかかるように座った。良く見れば、確かに顔には疲労が浮かんでいる。女子の足でこの荒野を一日歩くのはさぞかし堪えただろう。壁ぐらいは貸してあげよう。


「はっ! 私はこの石像やアンデッド共が襲ってこないか見張っておきます!」


 オッサンはそう言って、盾を構えて俺や家の周囲をうろつくアンデッドインプ達を睨む。


「襲わないってば」

「信じられん! アストラエ様を護れるのは私だけだ」

「だったら山賊からも護れよ。なんで逃げ回っていた?」


 俺が正論を言うと、サンツォが悔しそうに下を向いた。


「それは……」

「ガルさん、あまりサンツォをいじめないでください。彼は私の世話役で、本来は戦闘職ではないのです」

「なるほど。まあとにかくオッサンも休憩しろ。いざとなったらここから逃げられるようにな」

「ガルさんの言う通りです」

「アストラエ様がそう仰るなら……」


 渋々オッサンがアストラエの横に座り込んだ。


「しかしアストラエちゃん、ちょっと聞きたい事が――」

「様を付けろ! 貴様、アストラエ様をなんだと思って――」

「構いません。なんでしょうかガルさん」

「なぜここに家があるって分かった。俺がこの周囲を見ていた限り、ここに近付いたのはゴブリンぐらいだ。それも全員倒してるし。たまたま辿り着いたのならともかく……まるでここに何かあると分かっていたような口振りだったろ」


 そう。アストラエは確かに、ここには廃墟があるとか何とか言っていた。廃墟とは失礼だが……。


「それでしたら……」


 そう言ってアストラエが、ピューっという高く鋭い音を口笛を吹いた。


 すると空から、トンビのような鳥が降りてきた。


 その鳥はアストラエの肩に止まると、彼女の頬に顔をすり寄せた。


「ふふふ、私は動物達とお話が出来るのです。この荒野に来た時に、この子が怪我をしているのを見付けたんですよ。それで私は回復魔法でこの子を治癒してあげたところ、懐いてくれました」


 ふむふむ、流石アストラエちゃん、聖女っぽいな。というか回復魔法とかやっぱりあるのか。


「ぴゅい!!」


 鳥が何やら鳴いている。


「……まあ!」

「どうしました? アストラエ様」

「ガルさん、大変です」

「ん? 何が?」

「山賊達が――五人ほど北側からやってきているそうです」

「……早速かよ」


 俺は北の方を睨む。さてと、どうしたもんかねえ。さっきは上手くやれたが、流石にゴブリンほど上手く倒せるかどうかは怪しい。


 ……あれ、使ってみるか。


「た、頼んだぞガル!」

「私達は南側に隠れましょう」


 アストラエとオッサンが家の南側に身を潜めた。


 山賊がただの廃墟だと思ってスルーしてくれれば良いんだが……。


 しばらくすると、松明を持った山賊達が姿を現した。


「……こんなところあったか?」

「いや……しかしザックの奴らどこいった?」

「おい、アンデッドが湧いてるぞここ。呪われてるんじゃねえか」

「……しかしよお、あの小屋、廃墟にしちゃ立派だよな」

「確かに。それに見ろよ、あの玄関の上の石像。結構良い作りだぜ? 売れるかもしれんな」

「重いだろうが」

「まあ中に何か残っているかもしれんな。それにあの女と男の二人組が逃げ込んでいるかもしれねえ。見付けたら男は殺して女は……げひひひ……」


 やっぱりダメか。


 うっし。じゃあ彼らには申し訳ないが、ちと実験台になってもらおう。


 月が明るいせいで、真っ暗とは言わないものの、視界が昼間より悪い。


 きっとあいつらは()()()()()()()()()()


 俺はわざとアンデッドインプ達を家の近くで待機させる。そしてこっそりとスキル【地形操作】を使い、いまだに地面に上に残っている砂を静かにアンデッドインプ達の前へと移動させた。


 どうも地面に積もった砂も地形扱いだと分かったのだ。


 山賊達が警戒しながらこちらへと降りてくる間に、アンデッドインプ達の前の地面を、俺は静かに沈ませた。上に移動させた砂のおかげで、地面が沈んでも一見すると他の部分と高さが変わらない。


 そして俺はわざとアンデッドインプ達に、山賊を挑発させた。


「カタカタカタカタ!」


 アンデッドインプ達が飛び跳ね、歯を震わせて笑う。中には、骨棍棒をくいくいと動かして、かかってこいやとばかりに挑発する奴もいた。


 こいつら、意外と個性があるのか?


「雑魚モンスターの癖に!!」

「やっちまうぞ!!」


 山賊達がそれぞれの得物を抜いて、斜面を走り始めた。


 そう、ここはすり鉢状になっている。なので走り始めたら、()()()()()


「死ねやああああ!!」


 叫びながら駆けてきた山賊達が、アンデッドインプ達を目の前にして――地形操作で俺が掘った穴へと足を踏み入れた。


「うわああ!?」

「なんだこれ!?」

「砂で見えなかったが落とし穴か!?」

「誰か早く上がれ!!」


 斜面を駆け下りた勢いのまま突っ込んだせいで、砂の中でもがく山賊達。さほど深くは掘っていないのだが、サラサラとした砂と夜闇のせいで、冷静な判断が出来ていないようだ。


 その穴の横幅も実は、柱二本分ぐらいしかない。


 つまり――


 俺は穴の横に石柱を並ぶように二本設置。斜めに設置された石柱が穴へと向かって倒れていく。


「お、おい!」


 気付いた山賊の一人が脱出しようと縁に手を掛けるも、アンデッドインプ達が棍棒でその手を叩いて阻止。


「や、止めてく―― !」


 石柱がそのまま穴を塞ぐ形で倒れ、山賊達を直撃。


 四つの光が俺に吸収される。だが、なぜか一人だけしぶとく生きているようだ。


「うおおお!! ふざけるなあああ!!」


 山賊が叫びと共に、穴から飛び出してくる。その身体は赤いオーラに包まれていた。なんだろあれ。バフかな? 瀕死になるとパワーアップ系とか。


「ふんぬううう!!」


 斧の一振りでアンデッドインプがバラバラに砕け散った。


 あ、なんか知らんがあいつ強いぞ。んーこのままアンデッドインプ達で対処させるとじり貧だな……。


 魔力も結構あるし、奥の手を使うか?


「許さんぞおおお!! この【激怒のダグラス】が貴様ら全員ぶち殺す!! 喰らうが良い……」


 あ、なんかやばいオーラを斧に纏わせて、掲げている。あれ、喰らったらまずそうだな。

 俺は石の台座から飛び降りつつ、その【激怒のダグラス】とやらを上から強襲。


「我が必殺の!――大地ざ……えっ?」


 ダグラスがマヌケな声を出すと同時に、俺は石剣をそいつの脳天へとブチ込んだ。


 頭が潰れる嫌な音が響き、ダグラスが絶命。光が俺へと吸収される。


「……成仏してくれ」


 俺は一応、手を合わせたのだった。南無。


【敵キャラ解説ッッ!】

今回出てきた中ボス? の激怒のダグラスさんは、そこそこの強キャラです。

体力を一定以上のダメージで削られると、身体能力にバフ(大)がかかるスキル【激怒】と、自身に掛かっているバフを解除する代わりに超強力な一撃を放てる範囲攻撃スキル【大地斬】を持っています。殺しきれないと、一気に耐久度や体力を削られて下手すると一発で防衛線が崩壊するとか。別名初心者殺しのダグラス。

ガル君は、さっさと自分で動いて倒したので、判断としては正解でしたね。


あとガル君は基本的に、自分の主人や城に危害を加える、もしくは加えようとする相手には容赦しません。その辺りの倫理観は前世とは違うと補足しておきます。前世については知識だけあって記憶はほとんどないので、本人もあまり気付いていません。


今後もあとがきで色々解説していくので、ウザい人はスルーしてくださいね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイファン新作です! かつては敵同士だった最強の魔術師とエルフの王女が国を再建する話です! こちらもよろしくお願いします。

平和になったので用済みだと処刑された最強の軍用魔術師、敗戦国のエルフ姫に英雄召喚されたので国家再建に手を貸すことに。祖国よ邪魔するのは良いがその魔術作ったの俺なので効かないし、こっちの魔力は無限だが?



興味ある方は是非読んでみてください
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ