6話:聖女、聖☆登☆場
最初にやってきたのはやはりゴブリンだった。どうもこの辺りにはゴブリンが住み着いているようだ。
家の周囲がすり鉢状になっているのも気にせず、フランの眠る家へと近付こうとする。
「うっし、まずはアンデッドインプの実力を見るか」
ゴブリンは二体。こちらのアンデッドインプも二体だ。
見ていると、家の周囲の平坦になった地面の上でポコポコと殴り合っている。うん、なんか子供の喧嘩みたいだ。
すると、一体のアンデッドインプが思いっきり骨棍棒をフルスイング。ゴブリンの頭に命中すると、ゴブリンの小さな体躯が吹っ飛んで、地面の上をゴロゴロと転がっていく。光が飛んでこない辺り、死んではいないようだが、動く気配がない。
なるほど、あのフルスイングが【ハードヒット】で、あれが気絶状態なのか。
というか、これなら丁度良いな。
俺は【建材創作】で、気絶したゴブリンから少し離れた位置に、少しだけ斜めにした石柱を設置。
まるでギリシャ建築にでも使われそうな石柱が出現し、当然のごとく、重力に釣られてゴブリンの方へと倒れていく。
轟音と共に石柱が砕け散り、同時に光が飛んでくる。
うむ。威力も問題ない。
石柱での攻撃は、リストを見た時に思い付いてはいた。ただ、壁よりも面積が少ない分、当て辛そうだったので見送りにしようと思っていたのだが……気絶さえ入れば、必中だ。
そして残っていたゴブリンも、二対一になったせいであっけなくやられて、骨だけ残し消失。
ゴブリン二匹だけとはいえ、あっという間に排除できた。
ステータスを確認すると、アンデッドインプ達の体力は半分も減っていない。うむ。ゴブリンであれば、群れでもない限りはアンデッドインプだけでも勝てそうだな。
「これは、もうちょい召喚しておくか?」
俺は今倒したゴブリンの骨を使って、更に四体のアンデッドインプを召喚。どうやらゴブリン一体分の骨で二体召喚できるようだ。
これ、めっちゃコスパ良いな!
俺がウキウキしていると、遠くから何やら声が聞こえてくる。
「はあ……はあ……! 確かにこの辺りに……廃墟が……そこでやり過ごしましょう!」
「アストラエ様……本当ですか? そんなものはどこにも……」
人の声だ。
俺はどうしたもんかと考えていると、すり鉢の縁に、二人の人影が現れた。
「……っ!! ありました! ですが……こんな蟻地獄のようにはなっていなかったはずでしたが……」
「アストラエ様!! アンデッドがいますぞ!!」
「奴らに捕まるよりはマシです!!……あの小屋に逃げ込みましょう!! アンデッドは私がなんとかします!!」
見れば一人は、杖を持ち、フードを深く被ったローブ姿の少女で、その隣には松明を持ったその子の従者っぽい雰囲気のオッサンが立っていた。
いや、逃げ込まれても困るんだよなあ……。と思っているうちに、その二人がズサーっと斜面を降り始めた。
指示を上書きしていない最初に召喚したアンデッドインプ二体がその二人を迎撃すべく向かっていく。
ま、とりあえずそれで様子見し――
「不条理なりし者よ、塵に帰りなさい! 【セイクリッドバースト】!」
少女がそんな事を言って、杖を二体のアンデッドインプへと向けると、そこから光が放たれた。
その光にアンデッドインプ達が包まれた瞬間、その存在が消失。骨すら残さず消えた。
嘘だろ、一撃かよ!? しかも復活スキルを使う余地すらない!
まずいまずい。一撃で倒されるとか聞いてないぞ。
とりあえずアンデッドインプ達は撤退させて俺自身で迎撃するか!? とか焦っていると、また違う人影が縁に現れた。今忙しいんだよ!
「ぎゃはは!! いたぜええ!!」
「ひゃっはあ!! はやくぶっ殺そうぜ!!」
「あほ、その前に、お楽しみがあるだろ!! どんな可愛らしい悲鳴を上げるか楽しみだぜ!」
なんか凄く頭が悪そうな三人組が現れた。山賊みたいな格好をしており、手には斧とか剣を持っている。彼らは躊躇いもせず斜面を駆け下りて、こちらに向かってくる。
「アストラエ様! 早くこの小屋の中に!」
小屋じゃなくて家だよ!! とか俺が思っているうちに少女とオッサンの背後に山賊が迫る。
「しねえ!!」
「くっ!」
オッサンが小さな盾で山賊の攻撃を防ぐが、その一撃で尻餅をついてしまった。
さらに少女へと剣を持った男が迫る。すると、なぜかアンデッドインプ達が一斉に山賊達だけを攻撃しはじめた。
「な、なんだこいつら!」
「くそ、邪魔くせえ!!」
どうやら俺が無意識でその少女を助けようと思ったせいで、アンデッドインプ達への指示が上書きされたようだ。
どう見てもろくでもない、ゲスな連中とそれに追われている少女がいたら、つい少女の方を助けようと思うでしょ?
俺は仕方ないと判断し、山賊達の背後へと砂の壁を生成。
「へ?」
振り向いた山賊達をアンデッドインプ達ごと壁で潰した。
轟音が響き、砂塵が舞う。アンデッドインプ達はどうやらダメージを受けておらず、ピンピンしている。どうも俺の攻撃でダメージを受ける事はないようだ。
山賊達も地面に倒れてはいるが、死んでいる様子はない。頭に思いっきり壁がぶつかったせいで、気絶したようだ。
流石にトドメを刺すのはなあ……と考えていると――
「ふん!」
オッサンが斧を拾って、山賊の頭をかち割った。更に、アンデッドインプ達も残りの山賊達の頭を棍棒で叩き潰す。
山賊達は骨と着ていた服や持っていた装備だけ残し、光となって俺に吸収された。オッサンが殺した分まで俺に入るところを見ると、この範囲で死んだものであればなんでも良いらしい。
俺はアンデッドインプ達に停止指示を出した。
やれやれ、困った事になった。今さらこの二人を倒すわけにもいかないしな……。
俺が何とかするしかない。というわけで、とりあえず俺は声を掛ける事にした。
「よお、良い夜だな。ところであんたら……何者だ?」
見上げる二人の驚いたような顔は見て――俺は少しだけ愉快だった。
新キャラ登場です。
アンデッド系モンスターは復活系スキルを所持していますが、聖職者の使う魔法で浄化されてしまうと、そのスキルを発動させることが出来ません。
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