3話:壁は最強。はっきり分かんだね
すでに、辺りは暗闇に包まれており、月が三つも夜空に浮かんでいた。んー、やはり異世界だな。
俺は時間経過で13まで回復した魔力の使い道を考えていた。壁を一面変えても良いが、万が一またゴブリンが来た場合にこの小屋の魔力がゼロに近いのはまずい気がするので、躊躇っていたのだ。
そして俺の直感は当たっていた。
フランが寝てからしばらくすると、またゴブリンが現れたのだ。
しかも今度は十体だ。
「やべえな。俺が動くか? いやでも万が一魔力がゼロになったら俺はどうなるんだ? 動けなくなる? いやもしそれでダンジョンコアが壊れたりしたらまずいよなあ」
どうしたものかと迷っているうちにゴブリンの群れが近付いてくる。
「げぎゃ!!」
ゴブリン達が騒ぎはじめた。俺が昼間に倒したゴブリンの骨をまるで円陣を組むかのように囲んでいる。
仲間を倒された怒りというよりも、死にやがったぜこいつ! みたいな嘲りに見える。やっぱりろくでもない奴らだな。
そこでふと、小屋の前が砂まみれになっているのが目に入った。ああ、そういえば砂の壁を間違えて変なところに作ったせいでフランが危なかったっけ。
あれ……もしかして……使える?
今ならあいつら骨に必死で気付かないかもしれない
よしやってみよう。なんでも実験だ。
万が一無理だったら俺が動こう。素早く倒して戻ればきっと大丈夫なはず。
俺は砂の壁をゴブリン達の手前に生成した。少し斜めに角度を付けて、大きさも調整する。どうやらある程度は調整が効くらしい。
「……げぎゃ?」
影に入った事に気付いたゴブリン達が見上げるも、もう遅い。
砂の壁が重力のままゴブリン達の方へと倒れた。
「げぎゃあああ!!」
ゴブリンの断末魔と共に、砂塵が舞う。
頼む、死んでくれ!
俺の念が通じたのか、光が俺へと吸収されていく。お、小屋の魔力が回復してる!
「げ……ぎゃ!!」
見ればまだ数体、地面でもがいていた。どうやら当たり所が良かったようだ。
小屋の魔力は30まで回復している。ゴブリンだけでも結構魔力が回復するんだな。うっし、なら遠慮無く使おう。
「もういっちょ砂の壁!」
もがくゴブリンの横に再び斜めに角度を付けた砂の壁を生成。
バタン! と倒れる音と共にまた光が飛んでくる。そしてついに、静寂が戻った。
「撃退成功! 壁強いじゃん!」
ステータスを確認すると、
***
名称 :魔王のボロ小屋
レベル :3
耐久度 :100/100
魔力 :40/40
所有スキル:【建材創作】【独立行動】
称号 :【三流壁士】
名称 :ボロ小屋ガーゴイルの【ガル】
レベル :3
体力 :600/600
魔力 :60/60
所有スキル:【破砕音波】【ガルグイユの涙】
***
レベル上がってる! 魔力も上限値増えてるし良い感じだな!
おん? 称号とかいうステータスさっきまであったっけ?
俺はその【三流壁士】とやらを見てみると、
【三流壁士】:一定数のモンスターを壁のみで倒した際に得られる称号。壁による攻撃にプラス補正が掛かる。~壁とは主を護る盾であり、また敵を潰す槌となるのだ~
へえ、こういう実績解除で称号を得られるんだな。しかも壁限定だが攻撃にプラス補正が付いてる!
「うっし、とりあえず壁で撃退はありよりのありだな。三流ってあるし、やっていけば一流になるのかな?」
なんか、楽しくなってきたぞ?
というか色々試したいのだが、いかんせん、壁とドアしか作れないのが悩ましい。
「どうやったら作れる物が増えるんだろうか」
レベルだろうか? フランが起きたら聞かないとな。
「ん? お、またゴブリンだ!」
こうしてフランが起きるまで、俺は何回もやってくるゴブリン達を、壁で迎撃し続けたのであった。
ダンジョンマスター系によくある、トラップや強モンスターを設置して無双する系ではありません。
主人公は限られた手段だけで、頑張る物語です。ホームアローン的なあれです。




