20話:坑道
「埃っぽいけど……砂と岩以外なさそうね」
フランが坑道の狭い通路を進んでいく。傍らにはハイランドウルフ、頭上には空飛ぶ蜥蜴――フライングリザードが護衛に付いている。前を行くのはアンデッドインプだ。
フラン曰く、魔力が少し戻ってきているらしく、この辺りのモンスター程度には遅れを取らないそうだ。とはいえ、未知の場所に一人で行かせるのはあまりに不安すぎるので、無理矢理護衛のモンスターを付けたのだ。
「ん、どこかに続いているわね」
通路の先は行き止まりだったが壁が崩れて、その先があった。戻って、まだ行ってない方に進むのもありだが……。
ここまでの道なりを見る限り、ここは相当古い坑道らしく、鉱石はあらかた掘り尽くされていた。ハイランド鉱石とやらを一目見たかったんだけどね。
戻っても期待出来なさそうなので、この崩れた壁の先の方がまだ望みがありそうだ。
『行ってみようか』
先にアンデッドインプを偵察として進ませ、その後をフランが追う。
「カビ臭いわね。というかここは……」
その先には、明らかに人工的に作った通路があった。おそらく、坑道を掘ってる際にこの通路にぶつかり壁を貫通してしまったのだろう。
通路の左右には、窪みがあり蜘蛛の巣がそれを覆っていた。その窪みの中には、骸骨が横たわっていた。そんな窪みが左右の壁の上部までびっしりと並んでおり、通路の先まで続いている。
『霊廟か?』
「ええ。しかも相当に古い」
フランが先を進んでいく。こいつら……襲ってこないのよね?
「襲ってくるわけないでしょ? ただの骸骨よ」
目の前をアンデッドインプがトコトコ歩いているのに、ただの骸骨と思えるのが凄いよ。
「なんでこんなところに霊廟があるのかしら……」
『この荒れ地は、元々戦場跡だって話だろ? だとしたら、それを慰霊する為に作ったとか』
「にしたって、こんな地下深くに作る必要性が分からないわね。まあ、いいわ進んでみましょう」
『こういうところって大抵何か宝が眠っている代わりにトラップが仕掛けてあるんだ……』
そういう映画を何度も見た気がする。
「何の為にアンデッドインプを先行させてるのよ」
『そうでした』
しかし、アンデッドインプは何の危うげもなく先を進む。通路の先は地下とは思えない大きな広間になっていた。
柱が乱立し、騎士のように剣を掲げている石像が広間の奥へと続く昇り階段の左右に並んでいる。
「やっぱり、見た事ないタイプの建築だし、石像も古そうね」
『そういうのも分かるのか』
「分かるわよ。それなりに永い時間生きてきたんだから」
『なるほど』
フランが階段を上がっていく。その先には大きな扉があった。
「開かないわね」
その扉は天井近くまである巨大な扉で、固く閉ざされている。フランが押しても開く気配はない
『魔法的な何かで開いたりしないのか?』
「んー、そういうのがあれば多少なりとも魔力を感じる物だけど、何もないわね。普通に物理的に開くと思うのだけど」
フランが扉の周囲を調べはじめた。すると、石像の陰に何やら怪しいレバーがあった
「これかしら」
『多分な』
フランがそのレバーを引くと、ゴゴゴゴ……という地響きと共に、広間が揺れた。
「開いたわね」
意気揚々と扉の奥に進んだフランはしかし立ち止まってしまう。そりゃあそうだろう。俺だってその場にいれば立ち止まっていただろう。
その先には、地下とは思えない広大な空間が広がっていた。ゴツゴツとした岩肌の天井と壁と床。しかし何より目を引いたは――その空間の中央に悠然とそびえ立っている物だ。
黒曜石の壁が煌めき、いくつも尖塔が突き出ているその姿はまさに――城と呼ぶに相応しい代物だ。
「なんで……こんなところにお城が……?」
『遺跡……なんだろうな』
見る限り、住人がいる気配はない。
その黒曜石の城は、とうの昔に、護るべき主人を亡くしたのだろう。
見ると、フランが目を輝かせていた。
「凄いわ……かつてのあたしの城よりずっと立派だもの!! ガル! ここを……あたしの城にするわよ!!」
そう宣言したフランに、俺はノーと言えるわけがなかった。
ただし、ここはどうやらダンジョンにはなっていないようだ。
『どうすれば、ここをダンジョンに取り込めるんだ?』
「んー、ダンジョンをキチンと繋げるしかないわね」
『となると自動的に坑道に繋がるから……やっぱりあの村の坑道を何とかしないとな』
「あの聖女に期待しましょう」
というわけで、本当の意味での魔王城は見付かったものの、そこを使える日はまだ当分先になりそうだった。
城発見! とはいえすぐに付けるわけではなさそうですね
ハイファン新作連載開始!
かつては敵同士だった最強の魔術師とエルフの王女がざまあしつつ国を再建する話です! こちらもよろしくお願いします。
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平和になったので用済みだと処刑された最強の軍用魔術師、敗戦国のエルフ姫に英雄召喚されたので国家再建に手を貸すことに。祖国よ邪魔するのは良いがその魔術作ったの俺なので効かないし、こっちの魔力は無限だが?
良ければ読んでみてくださいね!




