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一紀①
「あああああああああっ」
突然の叫び声に、目を覚ました。
一瞬、自分がどこにいるのかわからずに、動きが止まる。
自分の部屋では、ない。ない、が、どこか落ち着く部屋だ。
(………ああ。真幸の部屋だ)
真幸の匂いに包まれて、ほっと息を吐く。
時計を見ると起きるにはまだ一時間も早い。
(………眠いな…………って。いや。そうじゃないだろ)
布団をはね除けて、ベッドから飛び起きる。
なぜ自分が目覚めたのか、思い出したのだ。
この部屋は、防音がしっかりしている。
のに、聞こえたのであれば、真幸のものだ。
何かあったのだ。
早足にリビングに向かっても、その姿はない。
「………真幸………?」