真幸④
右足が終われば左足のタオルを右足に移動させて、左足を同じ様にマッサージする。
時間をかけてゆっくりやるのが一紀のお気に入りだ。
両足を終えたら、背中のタリーズコーヒーを左足に移動させる。
腰辺り、座らないように気をつけながら膝立ちで背中を始めた。
「ふう……」
頬を少し蒸気させて、息を吐く。
気持ち良さそうに眼を閉じている一紀を見るのは嬉しい。
少年の頃に戻ったかのようだからだ。
(またしぼってる)
久しぶりに触れる一紀の身体は、さらに筋肉質になっていた。
同性の眼から満ても惚れ惚れしてしまう。
背中のあと、腕、手と移動して手を絡める。
手の甲から絡めるのは、一紀のリクエストだ。
(……綺麗だな)
瞳を閉じていると余計に一紀の整った顔立ちを際立たせている。
人気があるのも、よく理解できた。
「ふぅ」
首にくるといつも、気持ち良さそうに息を吐く。
(よかった)
この反応を見て、やっとホッと出来る。
「一紀」
そっと話しかけてみると、反応はない。
眠ってしまったようだ。
「……ん~っ」
うつ伏せでは寝ずらそうなので、仰向けにする。
引き締まった身体が眼に入ってしまい、慌てて布団をかけた。
しかし気持ち良さそうに眠る一紀の顔を見ると、力が抜けてしまう。
「おやすみなさい」
顔にかかった髪をよけて、額にキスを落とした。