真幸①
他のより転写、修正してのせています。
カチッ
これから来るであろう人の為にお湯を沸かし始める。あいつは、このお茶を気に入っている、と言っていた。
沸くまでの間に、仕事着のまま準備を始める。
今日は週に1度の約束の日。
約束といっても、忙しく飛び回るあいつにはそれすら守るのも難しくて、会うのは久しぶりだった。
考えれば、思わず笑みがこぼれる。
あいつの好きな匂いと灯り。
好みはあまり変わらないので、何年も同じものを使い続けている。
カチャ
「真幸、久しぶり」
一紀はいつも通りに笑みを浮かべたまま、合鍵で入ってくる。
「お帰り」
その顔をみて、ゆっくり微笑んだ。
「お茶いれるよ」
一紀の為にきらすことのない、一紀にしか淹れないお茶。
コツは必要だが、その分味わい深いお茶である。
一紀は用意している間にソファーでくつろいでいた。
「ありがとう」
一紀の言葉に笑顔で返すと、ゆっくり飲んでいる間にベッドの用意をする。
キャンドルを灯して、リラックス音楽を微かに聴こえるように調節する。
暖めていたベッドにタオルをひき、着替えを用意して電気を消す。
今日はこのまま着替えずにいる事にした。