003「再会」
003「再会」
目に映る彼女はとても楽しそうで、傍から見ればお似合いのカップルとして微笑ましい光景のはずなのに、僕にとってその光景は僕の心に重くのしかかり苦しくなった。
「紳真は何飲む?」
「レモンサワーで」
「俺も先輩と一緒で」
「俺は生で」
「よし、つまみはおれのおすすめをくわせてやるよ」
そう言って小島さんは定員さんに「すみませーん」と大きい声で呼んだ。
小島さんが注文している間に僕は彼女に気づかれないようにゆっくり見る、やっぱりかわいいなぁ
彼氏さんは歳いくつぐらいだろ、22歳くらいかなぁ、仕事何してるのかなぁっと考えていると
「紳真は?」
「えっ?」
突然小島さんから質問されて驚いてしまった。
「だからね、お前は彼女はいねぇのかって?」
どうやら女性についての話をしているようだ、隣のテーブルに夢中で全く聞いてなかった。
「彼女ですか、いませんよ」
とゆうか女友達すらいた事がない。
「1度もか?」
「はい・・・」
「えぇ先輩いた事ないんすかぁ?結構イケてると思いますけど」
「俺はもうちょい明るく振る舞えばモテると思うけどね」
増山君の言葉はたとえお世辞でも嬉しかったが、中田さんの言葉には正直胸にグサリときた。
たしかに僕は明るいか暗いかで言うなら暗い。だからこそ中田さんの言葉はド直球で僕の心を貫いた。
「まぁまぁ紳真は優しいし気ずかいが出来るし家事とかなんでもこなすからどこかのいい女が見逃さねぇって、まぁ付き合ったらシリには敷かれそうだな」
そんなこんなで話していると注文した料理とお酒がきた。小島さんが頼んだおすすめ料理はどれもとても美味しそうだ。イカフライにから揚げ、マグロの刺身に枝豆どれもとても輝いて見える。照明のせいかもしれないけど、とても美味しいそうなことは間違いない。
「それじゃあ、今日もお疲れ様でした。また明日も頑張っていきましょう、カンパイっ」
「「「カンパイっ」」」
そしてようやく飲み会が始まった。すると小島さんがさっきの話の続き話し出した。
「てかじゃあ紳真はまだ好きになった人はいねぇのか?」
「えっ、それは・・・」
実は今隣の人だなんてこと、絶対に言えるわけがない。
「お、誰かいるんだな話してみろよ」
「先輩に好きな女性が?!」
「それは聞きたいねぇ、紳真を射止めた女性を」
「ち、ちょっと御手洗に行ってきます!」
このままじゃまずいと思い、僕は店内のトイレに逃げた。「あ、逃げたぞぉ」という声が聞こえたが振り返らずにトイレに直行した。
逃げるついでに用を足しので、そろそろ戻ろうと思った。戻ってみるとどうやら違う話題を話しているようだったため、安心して席に向って歩いていると、視界に映っていた隣に座ってた彼女と、偶然にも目が合ってしまった。どうしようかと混乱していると・・・
「あら、あなたは今日髪切ってくださった美容師さんじゃないですか」
っと彼女の方から話しかけてくれた。
「あ、今日はおこしくださって誠にありがとうございました」
「いえいえ、私こそ今日はありがとうございました」
こんな些細な会話でも僕の胸が高鳴っていた。彼女の声が直接僕に話しかけてくれている、それだけで僕は幸せな気持ちにさせてくれた。
「姫ちゃん、この人は誰?」
彼女の前の男性が右手の人差し指を越しらに向けて彼女に質問した。
「こら岳人君、初めて会った人にこの人呼ばわり
して指をさしてはダメでしょ?」
「いや、これくらいは良くない?」
「社会人になるんだからそんくらいは分からないとダメよ」
「いや、そうなんだけどさ・・・」
あぁこれは僕にでもわかった、彼は知らない男が自分の彼女の知り合いだと思ってきっと怒っているんだ、こんなことで彼女に迷惑をかけてはいけない、ここは僕が引けばこの人、岳人君を落ち着かせられる。僕は、じゃあこの辺でと言おう、と思った瞬間
「お姉ちゃんの言ってることなにか間違ってる?」
「いや、間違ってはいないけど」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?、いやちょっと待って「お姉ちゃん」?いやもしかして・・・
「あの、すみません、彼は枕崎さんの彼氏さんなのでは・・・」
「え、違いますよ」
「え、では彼は」
「私の従兄弟ですが・・・」
「え、あ、そうだったんですね」
「はい、無事就職が決まったのでそのお祝いに私がご飯でも誘ったのです」
「なるほど」
「ほら岳人君、ちゃんと謝って」
「すんませんでした」
「あ、いえいえ大丈夫だから、ね?」
「それじゃあ私達はこれで」
「あ、はい気をつけて」
「はい、また行きますのでその時はまたお願いしますね」
そうして彼女は従兄弟の岳人君と一緒に帰った行った。正直いま、心からほっとしている。また会えるかもわからない彼女にこんなことを思っても仕方ないけれど
「おい紳真くぅん?」
後ろからニコニコしながらこちらを見てくる増山君と中田さん、そして小島さんがそこにいた。
「あの人、かなりの美人じゃねぇかお前いつの間に知り合ったんだよ」
「あの、彼女は・・・」
「あの人今日うちの店に来た人じゃないすか、先輩も結構やりますね」
「いや、ちが・・・」
「うん、スタイルもかなりいいね、特に胸!!!あれはFはあるぞ、間違いなく」
「おぉ、それはすげぇな、というか紳真よ」
「は、はい」
「彼女との関係じっくり聞かせてもらおうじゃねぇか」
「え、だから彼女とはなんにも」
もう既に彼らはハイエナのようなしつこさによって僕というウサギはその話から逃げることは出来なかった。
深夜1時頃、ようやく僕は彼らから開放された。
小島さん達は永遠と僕と彼女の関係についてを暴くための質問をしてきたので、僕もそれなりの抵抗をしたため、もうクタクタだ。
でも、今日は楽しかったなぁ、それに・・・
彼女にまた会えた。それだけで心があったかくなった。また会えたらいいなぁっと思いながら僕は夢の世界へと行くことにした・・・
彼女の笑顔を思い浮かべながら・・・
続く