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皆様お優しくて助かります。

ハドリーの名前をセオドアに変更しました。

ハドリー、自キャラに既にいました。

名前にこだわりが無さすぎてすぐ忘れる……

宮殿での暮らしはなかなかにハードだった。


特に上流階級の所作が身についていない私は、ゆったりしていたのは3日間だけ。

後は分刻みの鬼スケジュールをこなさなければならなかった。


しかも毛玉様は相変わらずワガママで尊大。


グレン隊長が甘やかし上手なおかげで何とかなっているものの……この上毛玉様のお世話がかかってきていたら、私はきっと土下座で「もう恋愛しなくていいので、後宮で毛玉様お世話コースの方でお願いします」と訴え、毛玉様に“必殺ミラクル回転体当たり”を食らっていたと思う。



忙しい淑女教育(私だけ王子妃教育には程遠い為)の中で、キラキラしい人達と絡まされる謎の拷問。



毛玉様は『こるぁぁぁ!愛想振りまかんかボケェ!これがお前の責務だぞ!!』と激を飛ばすが、そんなこと言われなくても最上級の笑顔は出せていると思う。


接客業に従事している方ならわかると思うが、忙しい時ほど笑顔が鉄壁になっていくものなのだ。

それが一番のトラブル回避術であるのは、市井でウエイトレスをやっていた頃と大差ない。

……必死さの現れとも言える。



キラキラしい方々は、ローレンス第二王子殿下、文官で宰相候補でもあるエルリック様、王子殿下の側近騎士セオドア様、公爵家ご嫡男カーティス様。



他にもグレン隊長のように近くに優秀な独身男性が多数いるが、メインはこの4人。

そして異常にキラキラしいのもこの4人。


キラキラしくなくてもイケメン独身男性ばかりなのは、乙女が恋をすれば一応は問題がないから、一定期間乙女の為に選りすぐられたらしい。

ただし、スケジュール上に組み込まれているのはこの4人で、頻度や時間の長さも階級の上位順になっているようだ。



王子は当然一番長い。



お昼とお茶と夕食を、順番で乙女一人ずつと一緒に摂っている。

二日に一度はなんかしらの順番が回ってきてしまうのでキツい。


営業スマイルもそうだが、毛玉様の圧が。




当初毛玉様は完全に王子狙いだったが、他の方々の聖獣がじわっと成長を遂げるにつれ、焦ってきたのだろう。

見境なくキラキラしい人たちにちょっかいを出すようになってきた。


具体例を述べると、カーティス様(エリートチャラ男)にダンスを教わっている私の背中に“ローリングサンダーキック”を食らわせ、カーティス様の胸に飛び込ませてみたり、

エルリック様に勉強を教わっている際に、エルリック様の膝裏に“必殺ミラクル回転体当たり”を食らわせて床ドン態勢を無理矢理作ろうと試みたり、

……と色々やらかしてくれている。


いずれもグレン隊長がすぐ対応してくれたので、キラキラしい方々に誤解は受けていないようだ。


グレン隊長は先程も殿下と離れたセオドア様にちょっかいを出そうとした毛玉様を捕縛してくれた。

日に日に反応が早くなる。流石隊長、超優秀。




「毛玉様はなかなかやんちゃでらっしゃるな……」


もう大分経ったせいか、私が聖獣を“毛玉様”と呼んでいることはいつの間にかバレていた。


「いつもすいません、グレン隊長……」

「気にすることではない、これも任務だ。……それよりもその“隊長”というのはやめてくれないか。俺は君の隊長ではない」

「あ、そうですね……申し訳ない」


「いや、謝る事では『スーパープレミアム頭突きぃぃ!!』」


グレン隊……いや、グレン様に新技を食らわす毛玉様。


なんだ?新技を繰り出したかったのか?

試し打ちはせめて私にしてくれ。


……と思った私だったがどうやら毛玉様は、先程自らが巻き起こそうとしたセオドア様に対するちょっかいをグレン様によって防がれたことが気に食わなかったようだ。


『貴様ぁ!いいところでいつも邪魔ばかりしおって!俺様の筋肉ベッドの分際で……おふっ』


しかしそんな毛玉様の攻撃は、“筋肉ベッド”と評する彼の体には微塵も通用せず、毛玉様の動きはあっさり封じられた。

その上毛玉様の抗議行動を、グレン様は“愛情表現”ととったらしかった。


仏頂面をとろけるように柔らかくし、グレン様は幸せそうに微笑む。


「……可愛いな、毛玉様は。こんなに懐いてくれるとは。この職に就いてこれほどの幸せを味わえるとは思ってもみなかった」

『“懐く”だと?!この俺様をまるで愛玩動物のように……っ!……おふっ、この絶妙な撫で方…………はっ!危うく篭絡されるところだったぜ!!』

「……割とされてますよ毛玉様……」


私の一言にグレン様は「なんだ?」と尋ねたが、答えないで上げるのが優しさだと思い、黙ってはにかんだ。


それにしてもグレン様は毛玉様の扱いが上手い。最早匠。


「それも営業スマイルか?」

「……今のは違いますかね」


「そうか。ならば君の笑顔はやはり良いと思う……とても魅力的だ」



————気を遣われたのだろうか……



「……申し訳ありません」


「何故遠い目をして謝る……」



先にも述べたように他の方々の聖獣は、微妙ながらも成長が窺える。



……皆自己申告性なのに、誰も申告しないが。


これは恐らく皆様があざといとかではなく、微妙に揺れる乙女心からだ。

そういえば皆様、露出が減った。



先日の定例会議で恋心が生まれたかどうかについて話し合った際、エレオノーラ様とナターシャ様は「よくわからない」の一点張りで、アナベラ様に至っては「断じて違う!」と否定していた。顔を真っ赤にしながら。


ちなみにその時点では明らかにアナベラ様の聖獣が一番育っていたのだが。


お三方の聖獣の成長具合は今どっこいどっこい位。

ただし皆少しずつでも確実に成長している。



だから毛玉様は焦りだしたのだ。


毛玉様は、全く成長していない。だって私、恋してないから。

毛玉様には申し訳ないが、営業中に恋に落ちる余裕などない。



結果、色んな人に暴挙に出るようになった毛玉様の行動によって、私が誤解されても仕方ない。


だが幸いなことに、皆様毛玉様のキャラを知っているので変に誤解をしないでくれていた。

初日はどうなることかと思ったが……皆様が優しくて助かった。




とはいえ定例会議に参加していないアシュリー様には順調に誤解を受けているようで、日増しに蔑んだ目でみるようになってきて居た堪れない。

今ではゴミでも見るような目で見てくるまでになった。



ここにきて成長していないのは毛玉様だけでなく、アシュリー様の聖獣もだ。



ただ、他の方の聖獣を見ていて思ったことがある。


アシュリー様の聖獣は、初対面の時から既に少し育っている状態な気がするのだ。




そんなことを思っていたら、殿下とお昼を共にする為に移動していた廊下でアシュリー様と遭遇した。


そして絡まれた。


閲覧ありがとうございます。


名前を間違ってたの『アナベラ』なんですけど……

驚いたことに出てくる3回中、3回とも名前が違うという……


いや、どんだけポンコツだよ……

あ~ビックリした。


1回目『アナベラ』

2回目『アマンダ』

3回目『アナンダ』


………………直しましたよ?

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