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何の罰ゲームですか?

『あ、お前俺様の乙女なんでヨロ』


「……はい?」


私は(ゆえ)あって“聖なる乙女”候補に選ばれてしまった平民、クローディア。

それもこれも上記の出会いから始まった。




私に話し掛けたのは、ウサギの様な謎の毛玉様である。

毛玉様は聖獣なんだそうな。


私は市井でウエイトレスとして働いていたのだが、この毛玉様のお陰で王の前に出されるはめになった。

平民なのに。


私は畏れおののきながら他のご令嬢の真似をしてカーテシーっぽい動きをした。

……何の罰ゲームだ。




当初毛玉様の言う“乙女”が何者なのかは私にはとんと見当がつかなかったが、毛玉様は私に言った。

物凄く軽い口調で。


『お前は王子を落としゃ~ええっつーね。わかる?』

「なんつー無茶ブリですか……」


毛玉様曰く、聖獣はこの国に5匹いるが自分は一番格下なんだとか。

私が第2王子殿下の嫁になれば婚姻の儀式の際、毛玉様も神殿で神からの祝福を受け、飛躍的に成長をすることができるらしい。


『この俺様の為に尽くさせてやる……有り難く思え』


毛玉様はふわふわした黒い毛を靡かせてそう仰った。

とても尊大だ。



聖獣である毛玉様のお声は“聖獣使い”である“聖なる乙女”(候補)にしか聞こえない。



「犬や猫が何を訴えているかなどわからない方が可愛い、奴等とは話が通じないから可愛いのだ」……という事をどこかの誰かが言っていた気がするが、全くもって同意。


この見た目が愛くるしい毛玉様は口が悪く、日増しに可愛さが失せていく。

最早今となっては、毛糸玉の方がまだ愛でれる気さえする。




“聖なる乙女”候補として5匹の聖獣が選んだ対象者はそれぞれ1人ずつ。即ち5人。

“聖なる乙女”候補は国の次代の重要役職者の嫁になり、祝福を受け“聖なる乙女”になるんだそうな。

ただし恋愛結婚をしなければならないらしい。


聖獣は“聖なる乙女”候補の恋愛によって成長をするんだとか。


婚姻の儀式に行われる“神からの祝福”もそうだが、他にも聖獣の成長方法はあるようだ。

だが聖獣は国のシンボルでもあるためそこで恋だの愛だのが生まれりゃ一石二鳥っていう話。


宮殿にて聖獣のお世話をしながら王子妃教育を受け(誰が選ばれるかわからないから)、重要役職者や王子様と接触を図る。

その定められた時間の間に「誰かと上手くカップルになれたらいいね☆」っていう。

カップル成立がままならなかったら、更に次の世代……50年後に再び“聖なる乙女”が現れる時期まで“聖獣使い”として有無を言わさず王宮に仕えなければならないそう。


つまり、“聖なる乙女”になれない場合、一生毛玉様のお世話係。それも勘弁してほしいが、王子妃とか……有り得なさすぎて笑う。いや笑えない。恐怖しかない。



何故かこの毛玉様は私をお選び下さった。



ハッキリ言って寝耳に水だ。

間違っても棚からぼた餅等ではない……間違いなく寝耳に水の方。


普通の平民だった時だって乾いた生活を送っていた私は“お時給ナンボ”の営業スマイルしかできない。

唐突に“恋愛をしろ”とか、私には敷居が高い。

平穏な生活を返せ。




(よし、小さくなって目立たないようにしよう)


私なんぞが選ばれる訳がないが、悪目立ちして良いこと等あろう筈がない。

毛玉様の言うことは無視して壁の花どころか壁と同化する位の心づもりで宮殿の生活に臨むことを固く決意する。




しかし宮殿に入った直後、『おおぉぉりゃぁぁぁ!!』という毛玉様の雄叫びと共に私は派手にスッ転ん……否、蹴り倒されたのだ。毛玉様に。


(酷い!)


倒れる最中「毛玉チキショウ」と悪態を吐いたが勿論心の中でだけだ。

毛玉様は畏れ多くも聖獣……まぁウサギみたいなもんだが。


正直怒らすと面倒なのだ。


この間怒らせた時は睡眠導入の度、耳元で後ろ足でタンタンするという地味に不快な嫌がらせを何度となくやってきた。

本当、面倒臭い。


「うぅぅ……」


膝小僧から血が出た。なんたる仕打ち。


『だっ大丈夫?クローディア!的な!』


「的な」ってなんだよ……


心配そうに私を見ている毛玉様だが、それが演技であることは「的な」でもありありとわかる。

大体蹴ったのアンタですやん。


『ちょっとやりすぎちゃった。てへ☆』


いや、可愛く言っても無駄だからな?

今夜のご飯は人参しかやらないことにする。毛玉様は人参が嫌いだ。見た目ウサギの癖に。





「……大丈夫か?」


そんな私に優しく手を差し伸べたのが件の王子様、ローランド第2王子殿下である。


(ああ……このためか……クソあざといな毛玉様……!)


毛玉様はここぞとばかりに王子様にすり寄ってキュウキュウ言い出した。


「はは、可愛いな!……すると君が、平民から選ばれし聖獣使いか!」

「はぁ……そうみたいです……」


可愛くキュウキュウ言ってはいるが、毛玉様はこう言っているのですよ、王子様……


『どや、俺様可愛いだろ?触っても良いんだぜぇ、王子よぉ……おっと、待て!俺様の超絶フワフワな腹毛を触らせるのはコイツを嫁に選んでからだからな?さぁ俺様の為に恋に堕ちるがいい!!はぁーっはっはっは!!』


……うわぁ……なんだこれ。変な悪役か。全部聞くんじゃなかった。


心配してるフリをして私に近寄る毛玉様は更にこう言った。


『お前もはよ愛想振り撒かんかい!俺の寵愛と成長はお前にかかってるんだぞ!草食系気取りか!獲物は目の前だ!肉食獣となれ!!』


昨日『葉っぱ美味ぇ~、マジ葉っぱ最高♪』と鼻ずさみながら草食ってた癖に何を言うか。説得力皆無。


「いいじゃないすか別に。末端でも聖獣なんだから……」


私はおもわずボソリと呟いてしまって、後に毛玉様から“ローリングサンダーキック”なるものを受ける羽目になるが、それはまた別の話だ。


「え?」

「いえ、なんでもございません」


とりあえずその場を取り繕い殿下の手を取ろうとすると、私の手目掛けて扇子が飛んできた。


多分、ゆるっと更新です。

エタらないよう頑張ります。


なにをどうすればいいのかが良くわからなくて、書式を弄くってみた。

また弄るかもしれません。


そして読み直したら酷いレベルの間違いが多い……!

よく今まで気付かなかったな!!

とりあえず直しますが、まだあるかもしれません。


随時直していきます。

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