2-15/魔王様、ユメマボロシもホントのチカラ(終)
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【@666vin ゴチでした ドワーフですけど質問ある?】
【@666vin ゴチでした がんばれスチームくん5号】
【@666vin ゴチでした 棲家を追われて七年目のドルイドおねえさん】
【@666vin ゴチでした ラムラ@全国自動人形研究会員】
【@666vin ゴチでした 偽形魂ファントムアイゼン】
【@666vin ゴチでした 万々板金】
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【@666vin ゴチでした 特殊映像撮影監督バズーカくらげ】
【@666vin ゴチでした ABABC】
【@666vin ゴチでした 魔法学校の不良精霊】
【@666vin ゴチでした カチコチメイルマン】
【@666vin エロすぎて内容が入ってこない 訴訟 あと巨大化グランジェル下から見上げたい 勇者アレン@DMA公開まで正座待機】
その日。
辛くも危機を乗り越えたものの、「も゛っ゛と゛ロ゛ボ゛部゛分゛と゛か゛演゛技゛に゛も゛注゛目゛し゛ろ゛よ゛う゛!!!!」という叫びを、人間界より遠く、魔界の亜空間に潜みし王城の玉座の間にて本物の魔王が上げたことを、人類は知らない。
「ところで、魔王様。今回の映像は、あくまでも疑惑を欺く幻術であり捏造ウソ作品、むしろいつまでも完成させないことで人類に不満と絶望を与える為の手でもあったわけですが」
「んなー!? なぁに言っとるのだおいズモカッタおい、いやモカP! やるに決まっとるだろこんなん!」
当然だろ! と指差す画面には、大勢の人間の、公開を待つ期待の声。
「余な! 余はもうわかったし決めたからな! 人間界征服、人類支配の肝心要は人気にあり! その心を征し、愛情を征し、楽々らくちんに魔王業を完遂することこそ最善手だ! というか余が見たいんで! こんな、偽装に必要なトコだけ撮った映像じゃあ足りないんで! 差し当たって脚本の続きを見せよ百妖元帥! あの後結局、バージョン・ケルベロスに進化したヴィンデモンは、天と地から迫る敵に対して、どのように戦って勝利するのだ!? 実は双子でなかったグラ子との姉妹関係は、どう決着を迎えるのだ!? なあなあ早う教えろモカPーっ!」
混沌の力で用意した衣装を着たまま、目を輝かせ、純朴な子供のように、666代魔王ヴィングラウドが、夢の続きを従者にせがんでまとわりつく。
「さてさて、どうしましょうか。――実は私も、撮影しなかった部分に関しては、まだ考えておりませんでした、と言ったら、魔王様、がっかりします?」
「なぁぬぅ!? それは残念だな! だが、それもよし! それはそれでよし!」
「……ほう?」
「余が考えるまでよ! あの後に続く――余であって余ではなき、魔王を目指す天晴な少女に、相応しき栄光をな!」
「…………ははあ。そう、来ましたか」
「うはははははは、当たり前であろう! 落胆なんぞするものか、している暇があるものか! 混沌とは、即ち、夢幻の祝祭が如く、望むものを無限に生み出すことである!」
明朗な解答に、一瞬呆気に取られた表情を浮かべ、それからすぐに道化の仮面は――魔王を導く四天王にして忠臣は、「それでこそでございます」と微笑んで一礼した。
がんばれ、たたかえ、666代魔王ヴィングラウド!
大衆の求めるモノと自分の趣味の噛み合わせに負けるな、クリエイター!
創作意欲と折り合いを付け、いつの日か本当に、心の底から誇れる作品を創り、客と自分を同時に満足させられるその日まで!
「うむうむ、むむむっ! ひらめいたっ! ではこうだ! 魔王は世界でいちばんつよいしすごいので、その姿を見たとたん威光的なのがなんかビカビカっとなって、誰もがひれ伏しははーっと謝る! ハッピーエンド! かーっ! 一分で出来ちゃったな千年残る名作が! 汝もそう思うであろ、ズモカッタっ!?」
「魔王様」
「褒めろ!」
「シナリオを嘗めるな」
「あっはい本当すみませんモカP……」
監督と役者の関係、ここにあり。
彼女は魔王で主な少女だが、経験と眼力で上回る脚本家兼プロデューサーにガチのトーンで囁かれ、速やかに土下座した。
【魔王様はホメて伸ばしてあげてください!】
【ちょっぴり成長】
第二章、これにて終了でございます。
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