第26話「その男、ロリコンにつき」
「ヴォアアアアアアア!」
「ひええええええええ!」
黒い猿みたいな化け物に俺は追いかけられていた。
やばい。
ビビッて腰が抜けそうだ。
それでもとにかく走りまくる。アイテムがあれば逆転できるかもしれない。
「どわぁ!」
が、俺はつまづいてしまったのだった。
【転び罠】が発動したのである。
「ヴォアア」
「くそ……」
怪物が俺に近づいてきている。
嘘だろ。
ここで終わり?
まだ1階。1階だぞ。
「ヴォアア!」
怪物が俺に襲い掛かる。
「うぎゃあああ!」
もう駄目かと覚悟した次の瞬間。
俺の前に閃光のように影が舞ったのだった。
――怪物は悲鳴を上げながら煙になって消えてしまった。
「大丈夫か? 君」
「あんたは!」
イケメン!
「む? 私のことを知っているのか?」
「えっとー」
知ってる。めちゃくちゃ知ってる。
「どうも助けてくれてありがとうございました」
と話を逸らしつつも言っておく。
「ふっ気にするな」
カッコイイ。
イケメンは得でいいなぁ。
「しかし、君のような子供が来るダンジョンではないはずだが」
「まあ色々とありまして」
っていうかそれはこっちの台詞だし。
なんでこいつはここへ来るんだ。今回は助かったけど。
コツコツ、とまた足音が聞こえてきた。
「君はどこかへ行きなさい。ここへいると巻き添えを食うぞ」
「巻き添え?」
「俺はこれから悪魔と戦うのだ」
そうか。
こいつがここにいるということは、アヴィが来るのか。
「なに。心配しなくてもいい。俺はもう何度も悪魔と戦っている」
知ってます。
っていうか別に心配してないし。
ひょこっと角からアヴィが現れた。
「あ、アヴィだ」
「ジュンイチ?」
イケメンが不思議そうに俺とアヴィの顔を交互に見た。
「アヴィ?」
あ、しまった。
「それが貴女の名前なのか。なんて可愛らしい名前なのだ」
え?
「私と結婚してくれ!」
は?
「いやです」
とアヴィが答える。
そうか。イケメンはロリコンだったのか。
ひどいオチだ。
「アヴィ、私は。きみのためなら死ねる!」
とイケメンがアヴィに向かっていった。
それは報われないフラグだと思う。
「うおおおお! 行くぞ、アヴィ!」
「もう来ないでください」
案の定、あっという間にパイルドライバーを決められ、イケメンは煙になって消えてしまった。
「イケメン……」
あんたのことは忘れないぜ。
「ジュンイチ、来てくれたんですね」
「あぁ」
「残念ですけど、わたしはジュンイチを助けてあげることができません。悪魔のしきたりなのです」
「そうなのか?」
アヴィは残念そうにこくんと頷いた。
「まあいいさ。それよりこのダンジョンは平気なのか? 0ポイントだけど」
「平気じゃありません。どんどん怪物が減ってしまってます」
だよな。
「とりあえずこれ以上ダンジョンに人が入ってこないように、わたしはここで見張りをする予定です」
「そうだな。頼んだぞ、アヴィ。ダンジョンを守ってくれ」
「はい。ジュンイチも頑張ってください」
「任せろ」
俺は力強くそう言って、ダンジョンの奥へと進むのだった。
あらすじを大きく改稿し、今まで書いてあったものを第00話として投稿しました。
内容に変更はありません。(2017/01/16)




