表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/31

第01話「朝起きたら俺の部屋がダンジョンの最下層になってた件」

ドドドドドドドドッ!

カン、カン、カン!

ドドドドドドドッ!


ドガァンッ!


「うるせー!」


ガバッと上半身を起こす。

なんかすごい音がして目が覚めた。


何の音だ?

っていうか、ここ。


どこだよ。


王宮の広間? って感じだ。

白い天井にシャンデリアがぶら下がっている。それから白黒のチェス盤みたい床。

壁には石の柱が並んで埋め込まれてて、そこに照明が設置されている。


あれ? でも机とか本棚とかは俺の部屋のが置いてあるな。

それに俺が今いるベッドも、いつものベッドだし。

配置とかもそのままだ。壁がないからなんか変。まるで家具屋の展示ブースみたいな。


えっと?

そうか。俺は夢を見てるんだな。


「うわぁー。やっちゃったぁ」

「お姉ちゃん。失敗です」

「うん。ま、いっかぁ! わははは」


本棚の向こうから女の子の声がした。

それからコツコツと足音が聞こえてきた。一人分だ。

足音はこちらに近づいてきて、ひょこっと本棚から姿をあらわした。


めちゃくちゃ美人の女だった。


下は黒くて短いスカート、上は黒い水着のようなものを着ているだけだ。

それから黒い翼と黒い尻尾が見える。

うん、どうやらコスプレイヤーのようだ。これはサキュバスだろうか。


「ダンジョン深くしてたら君の部屋につながっちった。ごめんネ」


うーん。それにしてもすごい綺麗な女だなぁ。

ハーフかも。目が青いし。髪は黒いけど。


「こら。君ぃ、何か言いなさい!」


芸能人……じゃないよなぁ。

テレビか何かで見たのかな。知り合いにこんな美人いないし。


「こらぁ!」


ぎゅうっとほっぺたをつままれた。両手で。

痛い。


痛い?


「あえ? ゆえひゃない?(あれ? 夢じゃない?)」

「アハハ、変なの~」


あ、ヤバイ。なんか夢じゃない気がしてきた。


「あ、わたしが悪いんだった」

ぱっと手を離された。


「あの、ここって?」

「ダンジョン」

「はあ?」

「さっき言ったでしょ? ダンジョン深くしてたら君のお部屋と繋がっちゃったの!」

「ダンジョンって? あのダンジョン? 悪魔の? お宝のある?」

「うん。それ。ここはダンジョンの最下層、ダンジョンマスターの部屋なのだ」


おいおい、冗談だろ。

でも明らかに俺の部屋が何か広くて異質な広間に取り込まれてる。


じゃあなんだ?

こいつは悪魔だっていうのか? コスプレイヤーじゃなくて。


「とりあえず元に戻してほしいんだけど」

「戻してって言われて困るよ。出来ないもん」

「は? まじかよ」


嘘だろ、最悪だ。


「う、何よその顔はぁ。そりゃわたしもちょっとミスっちゃったけどさぁ? だいたい君の部屋が変なところにあるのが悪いんだからね!」


なんか怒られたし。


「とりあえず学校に行かなきゃいけないんだけど」

「行けばいいじゃん」


露出女が指をさした。

そっちを見ると壁に扉があった。

見慣れた俺の部屋にあった扉だ。ベッドからすげー離されてるけど。


ベッドから降りて、そちらに向かう。

扉を開けてみた。普通に開く。向こう側に廊下がある。

よく知っている俺の家の廊下だ。


出てみてから、今度は廊下側から部屋を見渡す。

空間的にありえない広さの広間がある。これじゃあ家の壁を突き破ってしまう。

ベッドのあった方を見る。女が満面の笑みで手を振っていた。


俺はパタン、と扉をしめた。


「ふう」


こうしてしまえば、何の変哲もない今まで通りの廊下だ。

とりあえずトイレに行こう。んで、顔を洗おう。

それからもう一回考えよう。


ということで、俺は現実逃避気味に、一階への階段を降りるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ