表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/31

第12話「異変」

六月十七日。土曜日。曇り。


ディスプレイには4500という立派な数字が映っている。

ダンジョンは順調に欲望ポイントを溜めていた。


アイテムを増やしてから、動員数も伸びている。


追加したのはこれだ。

まずは俺の地蔵シリーズ。


【一途な英雄の為の地蔵(No012)】

1.お祈りすると肉体のあらゆる中毒が解消される。

2.ただしお金をお供えしなくてはならない。

3.初めて身体に取り入れた日を起算日として、1日×5千円が必要(現在価値)。

4.お供えしたお金は消えてしまう。

5.地蔵を毎日掃除しないと、元に戻ってしまう。


【芳香な英雄の為の地蔵(No013)】

1.お祈りすると肉体のあらゆる悪臭が解消される。

2.ただしお金をお供えしなくてはならない。

3.年齢×百万円が必要(現在価値)。

4.お供えしたお金は消えてしまう。

5.地蔵を毎日掃除しないと、元に戻ってしまう。


そしてアヴィが考えたお宝。


【解放のアレクサンドライト(No014)】

1.この宝石の所有者はあらゆる欲望が百倍になる。コントロールはできない。

2.所有者は持っている日数×1年分の寿命が縮む。


「がんばって考えました」


とアヴィは言っていた。


なんでこのアイテムにしたかと訊くと、「これを誰かがダンジョン内で拾ったら、欲望ポイントが増えるんじゃないかと思って」と答えた。


何か企んでると思ったが、まさかこんな裏技的なものを考えていたとは。


そんなにうまくいくかなー。

ちなみに今の所、ダンジョン内では一度も拾われていない。


ついでにマモンもアイテムを作った。


【忘却のアンモライト(No015)】

1.この宝石の所有者は過去を全て忘れてしまう。ただし一般常識は残る。

2.所有者は持っている日数×1年分の寿命が縮む。


ちなみに理由は、一回読んだマンガをもう一回新鮮な気持ちで読みたいから、ということだった。単純なやつだ。


他にもマモンが最初に作ったアイテムもダンジョンに置いて、今は全部で13のアイテムがある。だんだん立派なダンジョンになってきた。


「ジュンイチ、腕相撲しよう」


マモンは突然思いついたように俺に挑んでくることがある。


「いいけど」


テーブルに座って腕を組んだ。


「はっけよい、のこった!」


ばたん、とマモンの腕が倒れる。


「負けた~」

「そりゃそうだろ」

「もっかいしよ。今度は左」

「いいよ」


左手に持ち替える。


「ねえねえ」

「ん? ぶほ!」

「はっけよい、のこった!」


ばたん、と俺の腕が倒れる。


「勝った~」

「お、お前一体何を」


マモンはブラみたいな服を少しだけずらしたのだ。


「ふっふっふ。ジュンイチの弱点だって知ってたんだよ~だ」

「やめなさい」

「今度はわたしとしましょう」


将棋盤に駒を並べて眺めていたアヴィがこちらにやってきた。


「やだ。なんか負ける気がするから」


こんな可憐な女の子に負けたら立ち直れない。


「やるんです」


と強引に腕を掴まれた。

あ、駄目だ。この握った感触は、相当な使い手だ。


マモンが俺とアヴィの拳の上に手を重ねた。


「はっけよい、のこった!」

「ぬん!」


力を込める。が、動かない。


「ジュンイチ、弱いです」


ばたん、と音がした。負けてしまった。


「うぅ、もう立ち直れない」

「かわいそうに。よしよし」


心が折れた俺の頭をマモンがなでたその時だった。


「あ、人間がまた来ました」


いつもの入店音がした。


そして、その数分後。

突如、ディスプレイの数字が大きく変化を始めた。


――おかしいぞ。

――何故だ。


異変。


まるで機械が壊れたように見る見るうちに数字が増加する。

それは、討伐数を表す数字だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ