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プロローグ

「暇だね」

僕はお気に入りのライトノベルに譜面を挟み呟く。

「あぁ、暇だね」

「暇すぎてやってられないよ」

「こんなに暇な世の中は間違ってる」

「そうだ、世界を作り変えよう」

「僕が新世界の神に...」

様々な受け答えのように思えるかも知れないが、あくまでもコレは僕の呟き...独り言である。

だが、僕だって意味もなく独り言を言ってる訳ではない。これは独り言でありながらもこの部屋にもう一人いる僕の親友に囁きかける会話術。彼がツッコミをいれることによって会話を開始する秘奥義...孔明クラスの罠なのだ。

「・・・・・・」

だが、彼は無言を貫き通す。別に寝ているから無言な訳でない。もし寝ているだけなら寝顔を写メで撮ったりツーショットを撮ったり私物を拝借してそのまま返さないなどの事をするところだが、彼は起きているのでそれはしない。

ここで一つばかり言っておくが、あくまでも僕はノーマルで彼は男だ。僕が実は最近のマイブームの『ボクっ娘』で彼に恋してるなんて事もない。また、彼が可愛い系で性別不詳な中性的フェイスってこともない(むしろコワイ系)。さらに言うなれば、僕の方が中性的フェイスだし...

そりゃ彼は良い男だよ?性格は優しいし背は高い、スポーツも(球技以外)得意で勉強は学年トップの実力者...顔だってコワイ系ではあるがイケメンの部類だと思う。

だから、先程の写メうんぬんの話は親友としての心の表れのようなもので...ええと...つまり...

「つまり、僕は高篠が(人間面で)好きなんだよ!」

ガタタッ

僕が突然叫んだのに驚いたのか高篠が椅子を転げ落ちる...様な古典的な事はせず座ってる隣の席、今日は休みであるバイト戦士(自称)

・宮本(兄)のパイプ椅子をいきなり畳んで持ち上げた音だ。

まったく、筋トレをするなら静かにしていただきたいね?

「お前は...まぁいい」

一瞬の筋トレだったのか椅子を下ろしため息をつく、パイプ椅子は筋トレには向かないようだ。

「暇なら今読んでる本を読み直せよ馬鹿野郎」

おっと、スルーしてるようで実際は僕の行動をちゃんと見ていたようだ。細かいことに気付くのがモテる男の秘訣だと思う、僕も彼もモテる部類ではないのだけれど。

「おい、こっち見たまま固まるんじゃねぇよ... 気色悪いな」

「気色悪いまでは言い過ぎでしょ、大体自意識過剰気味だよ」

「ん...自意識過剰か、そうだな実際に見ていたかどうかは本人しか分からないモノも...」

「まぁ、見てたんだけどね」

再びパイプ椅子を持ち上げようとする彼を僕は手を前に突き出しストップさせる。 急な筋トレは身体に悪いからね?身の危険を感じた訳では断じてない。

「ちっ...もういいよ、疲れた」

「そうだね、筋トレをするならもっと健康的なのがいいよね」

「会話が繋がってねぇけど!?」

「このライトノベルだけど、三巻と間違って四巻を持ってきちゃったんで話が繋がって無いんだよね」

「急に話を戻してきやがった!? ってか、繋がって無いのは俺とお前の会話だ!」

「会話のキャッチボールならぬ会話のドッチボールだね」

「上手くねぇし意味がわからねぇ、ついでに言うなら一方的な的当て状態だろうが!」

むむっ?コレで笑いが取れないとは流石関西人高篠は笑いにうるさいね。彼のボケは微妙だけれど。

「はぁ...今日はもう帰ろうぜ、宮本(兄)は金曜以外来ないのは分かりきてるけど宮本(妹)と間宮、藤堂まで来ないんじゃ帰った方が無難だろ」

「そうだね、僕も帰って三巻を読みたいから今日は帰ろうか」

言うが速いか高篠は立ち上がって読んでた本を鞄に入れながら部室を出て行く。

「早く来いよ、鎌倉」

廊下から高篠の声が聞こえるので僕は急いで部室の鍵をかける

「ちょっと待ってよ、高篠」

「待ってるから早くしろっての」

部室の鍵をちゃんとかけたのを確認して鍵を鞄に入れる。僕の変化ある一日はココで終わり、後はいつも通りの時間になるだろう。

僕の名前は鎌倉兼一 代々続く鎌倉財閥の長男で無能な高校二年生である。



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