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8話 蛙の子は生まれ変わっても蛙!?

※閲覧注意:シモ関連の描写があります。

 平凡な人間は、生まれ変わっても凡人である。

 私はたらいの水面に映った自分の顔にふと気づいて、ちょっとガッカリした。

 何処にでもいるような、ごく普通の顔立ちだったからである。強いて言えば、大きな垂れ目の丸顔という点が特徴かもしれない十人並みの造作だ。

 とりあえずブサイクではなかったのだから感謝すべきなのだが、身近に並外れた美形がいるもので、(もしかしたら私も…?)と期待してしまったのである。所詮は儚い夢だったけれど。

 それにしても、行水するには肌寒い季節になってきた。隅に排水の為らしき溝がある石畳に置かれた真鍮製の大たらいの中に座って、私は震え出しそうになるのを我慢して丸洗いされている。

 なぜに黙って耐えているのかと言えば、もしも嫌がっていると周囲の人々に受け取られて、今より入浴回数を減らされたくはないからだ。

 この家の浴室には上水道も電気も引かれておらず、水は使用人が手桶で汲んで運び込む。なぜか窓がないために昼間でも暗い室内は、油灯の光りが頼りなく照らしている。しかも、灯りに関しては他の部屋も同じ状況だ。

 要するに、入浴には手間暇のかかる重労働が付随するのだ。

 なので、近頃は気温が低くなって汗もかかなくなってきたし、ぐずる幼児に対して無理に入浴させようとは周りも考えてくれないだろう。

 しかし、お風呂好きな民族である日本人の記憶が染み付いている身では、出来るだけ毎日体を洗いたい。

 そういう訳で、私はひたすら大人しく良い子にしている。

 ああ、湯船のある日本式のお風呂が恋しい。

 せめて、ここに石鹸があれば良いのに。シャンプーとリンスもあれば尚良しだけれど、そこまでの贅沢は言わない。

 なにせ今の生活では、ある種の植物を水に浸して揉むと生じる泡を使っている。これは、環境には優しいのだろうけれど、かなり使い勝手が悪い。おそらく洗浄力も弱いに違いない。

 こんな事をつらつら考えているうちに入浴タイムが終わって、今度はお着替えである。

 最初に身につける下着は、股割れズボンだ。これは足の付け根の、あの股の部分が縫い合わされておらず、足を開くと大事な所が見えてしまうという代物である。

 おむつを卒業して、これを初めて穿いたときはビックリ仰天したものだ。最初は破れているのかと勘違いしたくらいだ。

 お陰様でいつもピッタリと足を閉じ合わす癖がつき、ずいぶんとお淑やかになりましたの。

 …いったい誰ですか?日本人と中国人の文化が似ているなんて言ったのは?

2013.6.8

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