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ShoTa's 気持ち
「ねえ、言ったでしょう? ののかちゃんは、付き合っている人がいるの」
愛内がそう言った時には、何も考えられなくて、身体だけが勝手に走り出していた。
「はあっ……はぁっ……」
桜田の腕を掴んだまま、公園まで走った。針金男の声も聞こえない。
「柏木、くん……っ」
彼女は立ち止まって切れた息で言った。
「……腕、離して」
はっきりと聞こえた。
「何処へも行かないから……」
はっとして俺は手を離した。
「……」
沈黙が続いた。
2人の息が整った頃、桜田は口を開いた。
「愛内さんは、いいの?」
「え?」
「恋人同士なんでしょう」
彼女の言葉に面を喰らった。
「……桜田」
俺は言った。
「桜田がさっき男の人と話してたとき、すごい、胸が苦しかった」
「……え」
「好きな人じゃないと、こんな気持ちにはならない」
俺は言った。
「あの人と付き合ってるの?」




