父の告白
直哉、お前は今いくつだ?
……おい、そんな憐みの目で父さんを見るんじゃない。別に痴呆になったわけじゃない。一度言ってみたかっただけだ。分かってる、二十歳だろハ・タ・チ!
ああ、それで何が言いたいかというとだな。お前も、もう成人した立派な大人だろ。まぁある意味でのオトナの階段はまだ登ってないようだが……ぶふぉっ! おい、父に手を上げるとは何事だ! 悪かった、悪かった! 大丈夫、父さんも結構遅かったから!
ふう。まぁ元気が有り余ってるみたいで良かった。さて、どうしようかなぁ。もう大人だし、あの話をしても大丈夫かなぁ。でもなぁ……おい、構ってちゃん口調うぜぇとか言うな。分かった、話してやるから。
ああ、今まで秘密にしてきたことだ……違う、あの本のことは忘れろ! ……いや、リーブ21の話でもない。というかバレてたのか。父さんちょっとショックを隠しきれないがまぁ話を続けよう。
実はな。お前は俺の子じゃないんだ。
……なんでやっぱりみたいな顔してんだよ! そこは素直に驚いておけよ。おい、「じゃあ麻衣は義理の妹……!?」って何考えてるんだお前。父さんそれはさすがに笑えないぞ。
フッ、まぁウソなんだけどな。いてっ! 馬鹿、殴るな! ぐうっ、爺ちゃんにも殴られたことないのに!!
……じゃあ今度は本当だ。ああ、マジだ。本気と書いてマジンガーだ。
――いやぁ実は父さん、もうそんなに長くないんだよな。
はっはっはっはっは、おいおいそんなに笑うなよ。お前久しぶりに笑ったな。いつも父さん渾身のギャグでも笑わないのにな。え、ああ今のはギャグじゃねえよ。マジンガーだよ。はっはっは。
……あれ、ちょっと滑っちゃった感じ? いや、「今そんなこと言わなくても」って……うーん、今が一番の言い時だと思ったんだがなぁ。え? ああ、母さんにはまだ言ってないんだ。母さん俺大好きだから、これ言ったらむしろ先に母さんがショックで死んじゃうだろ? 言えねえよなぁ。まぁずっと隠しきれるもんでもないんだがな。
っておい、そんな葬式みたいな顔するなよ。まだ死んじゃいねえから!
はぁ。それは置いてといて俺が言いたいことは一つだ。
母さんと麻衣をよろしく頼む!
そんだけだ。我ながら、思い残すことのない人生だったからな。それだけ、お前が約束してくれたらもういいんだ。
おい、泣くなよ。大の大人がみっともねぇなぁ。え? 違う、昨日の蛍の墓を思いだして泣いてるんだって? あっそう。
まぁそれはいいから、どうなんだ? 約束してくれるか? 俺の代わりに、あいつら守ってくれるか?
……いい返事だ。ははっ、やっぱり俺の息子だな。
じゃあ行くか! どこへ、って? 決まってるだろ! 家族を守るためにはまず仕事! 大丈夫、高卒とか関係ねぇし。父さんが付いていってやるから。
行くぞ、ハロー○ーク!!
なんか……もうちょっとなんだよな('・ω・`)
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