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第四章 黄泉の門

登場人物

【ヒューマン】

藤村武 24歳

サキュバスの正体が判明するが、主だった動きもなく、監視することにした

黄泉の国へ着くが、門には2つのアイテムが必要と張り紙がある


サキュバス

武を監視する任務から護ろうとする心に変化していく

人間には行けるが、黄泉の国には入れない


ケルベロス

黄泉の国の門までたどり着く

邪気が巨大となり、異次元のケルベロスは黄泉の国には入れない


ウリエル

十拳剣という剣の事をしっている


メタトロン

邪気を払うには桃の実が必要

それを再び武に伝える


ミカエル

元々はルシファーとは兄弟であり、人間界では見分けがつかない


カミエル

ガブリエルと後楽園に降り立つ


ガブリエル

ルシファー、ベルゼブブを調べている


ラファエル

契約書の内容を調べてはいるがかなり時間が必要


帝王 鳳来

武に節刀を下賜したあと、朝廷には赴いておらず、政務が滞ってきている


月宮鳳蝶

摂政として政務を執り行う

鳳来が内裏より出てしまい捜索中

十拳剣がどこにあるかをしっている人物


小高首相

A4の用紙が突然燃えだし、桃の実4個になる

その桃の実には順序が書かれている

桃の実の特徴の一つとして日持ちがしない


【魔界】

ケルベロス

黄泉の国の門にたどり着くケルベロスとは別個体

魔界の番犬であり獰猛


【神】

オモイカネ

武が黄泉の国へ来るのを待つ神

ヒトコトヌシ、アメノウズメと岩戸の前で中の様子をうかがっている


【アイテム】

桃の実

十拳剣(節刀)

A4の紙

勾玉

第四章 黄泉の門

一 門の張り紙

神田川の底を抜けた先は、光のない道だった。

武は足元を確かめながら歩いた。地面は固く、冷たく、しかし水ではない。暗い通路が続き、やがて前方に巨大な門が現れた。

石造りの門。高さは見上げても天井が見えない。その門に、白い紙が貼られていた。

武は近づいて読んだ。

「この門を開くには二つのものが必要である。桃の実と、十拳剣」

節刀は持っている。しかし桃の実は手元にない。

武は振り返った。通路の入口に、人影があった。

リリだった。


二 境界に立つサキュバス

「ここまで来たんですか」武は言った。

「人間の行けるところまでは行けます」リリは言った。「黄泉の国の中には入れない」

その顔に、武が初めて見る表情があった。監視でも演技でもない、純粋な心配の色だった。

「正体は知っています」武は言った。「ルシファーが寄越したんでしょう」

リリは否定しなかった。「最初はそうでした」

「今は」

「今は」リリは少し間を置いた。「わかりません。あなたを危険な場所に一人で行かせるのが、なぜか嫌なんです」

武はその言葉を聞いて、追及するのをやめた。今は先を急ぐ必要がある。

「桃の実が必要です。どこにあるか知っていますか」

「知りません。でも」リリのスマートフォンが鳴った。画面を見て、リリは武に向けた。

小高首相からの連絡だった。


三 燃える紙と桃の実

地上では今、首相官邸の執務室で奇妙なことが起きていた。

小高が机に置いていたA4の紙が、突然燃え始めた。炎は赤ではなく白く、煙も出なかった。紙は灰にならず、燃え尽きた跡に四つの桃の実が残った。

小高は桃の実を手に取った。それぞれに薄い文字で番号が書かれている。一、二、三、四。順序がある。

小高は電話をかけた。リリが出た。

「郵送する時間はない。直接持っていく」


四 メタトロンの言葉

武が門の前で待っていると、老人が現れた。

メタトロンだった。黄泉の通路にも、この存在は来られるらしい。

「桃の実が来る」メタトロンは言った。「イザナギが黄泉の軍勢を退けたときに使ったものと同じ力を持つ。邪気を払う。ただし日持ちがしない。急ぎなさい」

「十拳剣は節刀のことですか」

「節刀はその器だ。本来の姿は十拳剣という神の剣。鳳来から渡されたとき、既に宿っていた」

武は鞄から節刀を出した。改めて見ると、鞘の紋様が先週より深く見えた。

「抜いたとき、空気が変わりました」

「それが十拳剣の力だ。邪気に触れると反応する」メタトロンは言った。それから声を低めた。「門の向こうに、魔界のケルベロスがいる。お前の飼っている魂とは別個体だ。獰猛で、邪気が強い。桃の実で気を払いながら進みなさい」


五 後楽園の二人

地上の後楽園では、立川と槲が降り立っていた。

カミエルとガブリエルの姿のまま、二人は話していた。

「ベルゼブブの調査は進んでいるか」槲が聞いた。

「契約書の内容は複雑で、ラファエルがまだ解析中だ」立川は答えた。「ただ一つわかったのは、契約に期限がある。その期限が近い」

「ルシファーはどこにいる」

「わからない」立川は空を見た。「ミカエルに確認したが、ミカエル自身、見分けがつかないと言っていた。人間界では兄弟は同じ顔をしている」

槲は黙った。

ミカエルとルシファーが同じ顔をしているなら、山水が本当にミカエルかどうか、確かめる方法がない。


六 月宮の知識

同じ頃、月宮鳳蝶は鳳来の捜索に疲弊しながらも、一冊の古い書物を読んでいた。

十拳剣の所在について記した記録だった。鳳来が節刀として武に渡したその剣が、黄泉の門を開く鍵になるとは、月宮は知らなかった。

しかし今、全てが繋がり始めていた。

月宮は電話をかけた。相手はウリエル、松山千晴だった。

「十拳剣のことを知っているか」

「知っています」松山は答えた。「その剣は黄泉の扉を開けるだけでなく、閉じることもできる。ただし閉じるには、内側から使わなければならない」

月宮は息を呑んだ。

「つまり、藤村武は中に入ったら」

「桃の実がなくなる前に出なければ、閉じ込められる可能性があります」


七 オモイカネの待機

黄泉の国の岩戸の前では、オモイカネが座っていた。

ヒトコトヌシとアメノウズメが隣にいる。三柱は岩戸の奥の気配をうかがいながら、待っていた。

「来るか」アメノウズメが言った。

「来る」オモイカネは答えた。「桃の実を持った人間が、門を開ける」

「アマテラスは動くか」

「ヒトコトヌシの一言があれば」オモイカネはヒトコトヌシを見た。「頼む」

ヒトコトヌシは黙っていた。


八 門が開く

武がリリから桃の実を受け取ったのは、それから間もなくだった。

小高が自ら川岸まで来て、リリに渡した。リリが通路の入口まで走って届けた。武の手に、四つの桃の実が渡った。それぞれに順序が書かれている。

日持ちがしない、とメタトロンは言った。

武は節刀を抜いた。空気が変わった。十拳剣の力が、暗い通路に光を走らせた。

桃の実を一つ、門に触れさせた。

石が軋んだ。

二つ目。門が動き始めた。

三つ目。光が漏れた。

武は四つ目を手に持ったまま、門の隙間を見た。

向こうに、巨大な影があった。

魂だった。黄泉の邪気を受けて、見たことのない大きさになっていた。しかしその赤い目が武を見た瞬間、武には確信があった。

まだ、自分の犬だ。

武は四つ目の桃の実を手に、門をくぐった。


第四章 了

黄泉の国には簡単には入れない

桃の実と十拳剣を必要とするのだが、本来は汚れを払うための物であり、門を開けるためのアイテムではない。また十拳剣が必要なのは、大蛇との戦いに使うため。

武自身、本来の自分をしらない。

黄泉の国にいるイザナキは時間が止まったままで、誰かをまっている。

一方、岩戸の方は神々が集まりだす。

一つの時間軸ではあるが、平行に動き出している。

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