第38話
すみだ水族館での楽しいひとときを過ごした後、柚たちは次の目的地のスカイツリーへと向かうことにした。外に出ると目の前にスカイツリーがそびえ立ち、青空に向かって伸びていた。
「すごい…あらためて見ると本当に大きいね!」
柚が驚いたように声を上げた。
「確かに、いつ見ても圧倒されるよね」
翠もスカイツリーを見上げながら言った。
「よし、いよいよスカイツリーに昇ろう!」
樹が元気よく声をかけると、和人も頷いて笑顔を見せた。
「行こう!」
和人が柚を見ながら言うと、柚も笑顔で答えた。
「うん、楽しみだね!」
4人はスカイツリーの入り口に向かい、チケットを受け取った。エレベーターに乗り込むと静かに上昇を始める。柚は緊張して手を握りしめていたが、和人が気づいて声をかけた。
「柚ちゃん大丈夫?ちょっと高いところ苦手?」
「ううん、ただ少しドキドキしてるだけ。でも、すごく楽しみ!」
柚は照れくさそうに笑った。エレベーターの窓から徐々に広がる東京の景色を眺めていると、あっという間に展望台に到着した。
「わぁ…すごい!」
柚はガラス越しに広がる壮大な景色に目を輝かせた。
「本当に東京が一望できるね!」
樹も感動しながら景色に見入っていた。
「こうやって見ると、街がまるで模型みたいだね」
翠がつぶやき、和人も窓際に立って景色を眺めた。
「相撲部屋での日常とは全然違う景色だな。これだけ広い場所で、俺たちはほんの小さな一部なんだなって思う」
和人は感慨深げに言った。
「そうだね。こうやって上から見ると、ふだんの悩みや心配事が小さく感じるかも」
柚がそっと言った。
「うん、確かに。こうしてリフレッシュするのも大事だね」
和人が優しく微笑むと、柚も微笑み返した。
「さて、次はどこを見に行く?」
樹が元気に問いかけると、翠が展望台の案内を見ながら提案した。
「ガラス床のエリアがあるみたいよ。足元が透けて見えるところ、行ってみない?」
「えっ、それちょっと怖そう…でも、行ってみよう!」
柚は不安げな顔をしながらも興味津々の様子で、4人はガラス床エリアへと向かった。
床が透明になっている場所に到着すると、足元が透けて見える東京の街並みに柚は思わず後ずさりしてしまった。
「うわぁ…これ、思ったより怖いかも…!」柚が笑いながら言うと、和人が優しく肩に手を置いた。
「大丈夫だよ、しっかり支えてあげるから。見てみなよ、すごい景色だよ」
和人がそう言うと、柚は和人の手を借りながら恐る恐る足元を覗き込んだ。
「ほんとだ…!すごいね!なんだか空を歩いてるみたい!」
4人は展望台でのひとときを楽しんだ。
スカイツリーの展望台を堪能した後、4人はお土産屋さんに足を運んだ。店内にはさまざまな商品が並び、観光客たちが楽しそうに品定めをしている。
柚は並べられた商品を眺めながら、ふと心の中で「何かお揃いのものが欲しいなぁ…」と思っていた。4人で過ごしたこの時間を記念に残したかったが、恥ずかしくて口にはできない。商品を見ているふりをしながら、なんとなく黙っていた。
そんな時、隣にいた翠が明るく声を上げた。
「ねぇ、せっかくだから、4人で来た記念に色違いのストラップ買わない?」
その提案に、柚の心が一気に弾んだ。
「それ、いいかも!」
柚は笑顔で答えた。恥ずかしさも消え、内心嬉しくてたまらなかった。
「いいね!それぞれ色違いでお揃いっていうのも楽しいな!」
樹も賛成し、和人も微笑みながら頷いた。
「うん、こういう時の記念は大事だよね。じゃあ、みんなそれぞれ好きな色を選ぼうか?」
お土産コーナーには色とりどりのスカイツリー型のストラップが並んでいた。それぞれ、微妙にデザインや色が違っていて、どれにしようか迷うほど魅力的だ。
「私は、黄色がいいな!」
柚が手に取ったのは優しい黄色のストラップ。控えめだけど可愛らしいデザインに一目惚れした。
「ゆずって八百屋さんに行くと明るい黄色だからね」
「そういえばそうだね。そうかぁ、柚ちゃんは黄色が好きなのかぁ」
和人は言いながら、よく覚えておこうと思っていた。
「じゃあ、俺は青にしようかな。関取になったら青いまわしを着けたいんだ!」
和人はスカイツリーの形をした鮮やかな青色のストラップを手に取った。
「樹くんは?」
翠が尋ねると、樹は考えてから茶色のストラップを選んだ。
「僕はこれにするよ。なんか落ち着く色なんだよね」
「じゃあ、私は緑にしよう!私も自分の名前だからね!」
翠は元気いっぱいに、鮮やかな緑色のストラップを選んだ。
「よし、これで決まりだね!」
柚がストラップを手にして、みんなでにっこり笑い合う。
「なんだか、みんなでお揃いって嬉しいね」
柚が照れながら言うと、和人も優しく微笑んでいた。
「そうだね。これを持っていれば、どこにいても今日のことを思い出せるし、また一緒に来ようって気持ちになれる」
和人の言葉にみんなが頷いた。4人で揃えたストラップはそれぞれのポケットやカバンにそっとしまわれ、この日を忘れられない思い出として刻まれたのだった。




