第36話
水族館内を歩きながら4人は次々と展示を見て回っていた。すると翠がふと立ち止まり、大きな展示を指さした。
「あっ、これはクジラね!」
「クジラ?!おっきぃ…」
柚が驚いた声を上げる。
「でかいな…」
樹も感心しながら、その巨大な模型を見上げた。
「俺たち力士より大きいね」
和人が笑いながら言うと、柚がふと面白そうに話を続けた。
「ふふふ、クジラと相撲は取れないよね?」
「つぶされちゃうね」
和人も笑いながら答える。
「あはは!私なんて食べられちゃうかも!」
その会話にみんなが笑いながら進んでいくと、翠がまた声を上げた。
「ペンギンいた~!」
「ほんとだ!かわいいーーー!」
柚は目を輝かせて、水槽の中で泳ぐペンギンたちを見つめた。
「たくさんいるな~」
樹も興味深そうにペンギンを観察する。
「おおお~」
和人も感嘆の声を漏らした。
「岩の上で動かない子もいるね!」
「あの子、水に入らないのかな?」
翠が不思議そうに呟く。
「なんかウトウトしてるみたい。わっ、でも水の中の子、すごい速い!」
ペンギンたちが水中をスイスイと泳ぐ様子に4人とも見入っていると、和人がふと気づいた。
「あっ、飼育員さんがいるよ!」
「ほんとだ。魚の入ったバケツ持ってるね」
「食事の時間かな?!ペンギンたちが集まってきた!」
柚が興奮気味に言う。ペンギンたちは飼育員の周りに集まり、餌の魚をパクパクと食べ始めた。口に上手に魚を入れる姿が、4人の心を和ませた。
「かわいい…♡」
柚が夢中になってペンギンを見つめる。
「ごはん食べてるところが見られた!ぱくって口に入れるの、上手だね!」
和人も笑顔で話した。みんなの顔には自然と笑みが浮かぶ。
その時館内放送が響き渡った。
「このあと12時より、チンアナゴのご飯の時間が始まります。」
「えっ、チンアナゴのご飯だって!行こっか!」
柚は興奮気味に提案する。
「ご観覧のみなさまは、チンアナゴの水槽にお越しください~」
「チンアナゴってどっちだっけ…」
柚が首をかしげると、3人が答える。
「えっと…こっちかな?」
樹が地図を確認しながら、「ええと、そこを左に行って…」そしてすかさず翠が「つきあたりを右だね」と言った。
「うんうん、こっちだね!」
元気よく答えながら4人は急いで向かう。
「あっ、案内があった!人が集まってきてるね!」
「そうだね」
和人も頷きながら、4人はチンアナゴの水槽にたどり着いた。すでに多くの人が集まっており、みんなチンアナゴがひょっこり顔を出している姿に見入っている。
飼育員がマイクを持って、水槽の前に立ち説明を始める。
「これからチンアナゴのご飯の時間です。皆さん、じっくり見てくださいね!」
水槽の中では砂の中から顔を覗かせているたくさんのチンアナゴが、飼育員の手に持たれた細かいプランクトンに敏感に反応していた。飼育員が少しずつ餌を水槽に入れると、チンアナゴたちはふわふわと体を伸ばし、口をぱくぱくさせて餌を捕まえる。砂の中に体を埋めたまま、上下に揺れながら餌を食べる姿がとてもかわいらしい。
「わぁ…すごい!」柚は思わず声を漏らしながら、その様子をじっと見つめていた。
「チンアナゴって、こんなに動くんだなあ」
和人も驚いた様子で呟いた。翠と樹も、息を呑んでその光景を楽しんでいる。
「何回見ても飽きないよね」
翠が言うと、樹も同意するように頷く。
「本当にすごいね。こんな小さな体で、一生懸命に生きてるんだね」
感動した様子の柚が続けた。チンアナゴの小さな口が次々と水中の餌を捕まえ、ふわふわと揺れる体がまるで水の中で踊っているかのようだ。
「皆さん、ありがとうございました!」飼育員が最後の挨拶をすると、会場は拍手で包まれた。
「パチパチパチパチパチパチ」
「すごかったねぇ…感動しちゃった!」
柚は目を輝かせながら言う。
「すごかったなあ!」
和人も興奮気味に応じた。
「何回見ても飽きないよね」
翠と樹も笑顔で言う。
「うん!また見に来たいなぁ」
4人はしばらくチンアナゴを見ながら笑い合っていた。




