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あなたの打ち込んできたものはなんですか?  作者: 共作 群青の海 シエリ
第3章 初土俵
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第19話

これから和人と春風は約半年間相撲教習所に通い、力士としての基本を徹底的に学ぶ日々が始まる。そこでは相撲の技術だけでなく、生活習慣や相撲文化も教え込まれる場所だ。


相撲教習所では二人は朝から晩まで厳しいスケジュールに従いながら過ごすことになった。教習所の一日は座学や実技の授業が続く。実技では四股やすり足、ぶつかり稽古といった基本動作を何度も繰り返し、徹底的に体に染み込ませる。


「普通の学校よりも稽古時間が含まれる分、かなりしんどいな…」

「そうだな。でも先輩たちもみんな乗り越えて来てるんだ。頑張ろう」


和人と春風は同期のライバルたちと励まし合いながら教習所での毎日を送っていた。


教習所での稽古は潮見部屋の厳しい稽古とはまた違ったもので、相撲の基本動作を何度も反復練習する日々が続いた。和人は慣れない動作に最初は苦労したが、少しずつ体が慣れていくのを感じるたびに着実に成長している実感があった。


授業では相撲の歴史や相撲部屋での礼儀作法、栄養学なども学ぶ。特に栄養学の授業ではちゃんこ料理が力士の成長にどれだけ大切かを改めて理解し、自分の食生活を見直すきっかけとなった。


「力士にとって食べることも大事な稽古の一環だ。体を大きくしないと勝負にならないぞ」


教官が力説するたびに和人は潮見部屋での料理を思い出しながら、食の大切さ、体づくりの深さを改めて感じた。


「教養の授業もあるんだな…相撲はただの力のぶつかり合いじゃない。文化なんだ」

「ああ。例題の力士の授業は本当に面白いな」


教習所での学びを通じて、和人と春風は相撲が単なるスポーツではなく、日本の伝統文化として根付いていることに感銘を受けた。


半年間の教習所生活は思った以上に厳しかったが、同期の仲間たちと支え合いながら過ごす日々は和人にとってかけがえのない時間だった。毎日の稽古で体力と技術を磨き、座学で相撲の知識を深めていく中で和人と春風は次第に力士としての自覚を強めていった。


二人とも相撲教習所での生活を一日一日大切に過ごし、力士としての下地を作り上げていった。


11月となり九州場所が始まる少し前、半年間の厳しい相撲教習所での日々がついに終わりを迎えた。5月から始まった教習所での生活は、二人にとって多くの試練と学びの場だったが、なんとか全てを乗り越え、二人とも皆勤賞で卒業することができた。


ある日潮見部屋での稽古が終わり、和人は稽古場の片隅で汗を拭いていた。そこに親方がゆっくりと近づいてきた。


「佐藤、話がある。いいか?」


和人は親方の厳しい表情に一瞬緊張しながらも、すぐに立ち上がり「はい!」と力強く返事をした。


「お前、教習所での半年間、よく頑張ったな。皆勤賞だと報告があったぞ。教官も褒めていた。お前は真面目で実直だ、と」

「ありがとうございます…!」


和人は頭を下げながら教習所での日々を思い返した。厳しい毎日だったが、春風や同期と励まし合った日々、そして潮見部屋のサポートがあってこそ乗り越えられた日々だ。半年間で培った忍耐力と技術が自分を成長させてくれたと感じていた。


和人は7月の名古屋場所の少し前のことを思い出していた。


「和人、オレたちの四股名が番付に載ったぞ!」春風が名古屋場所の新しい番付表を見ながら叫ぶ。

「春風、やったな!」和人も興奮気味である。


「番付の序ノ口の四股名は豆粒みたいに小さいが、いつかは2人とも関取になって上に大きな字で載ってくれ」南浜が微笑みながら言う。

「はい!南浜関!」

二人の心は一気に高鳴った。

「ありがとうございます!必ず関取になります!」


和人は心の中でこれまで支えてくれた両親や姉の美音、そして部屋の仲間たちへの感謝の気持ちを噛みしめた。

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