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あなたの打ち込んできたものはなんですか?  作者: 共作 群青の海 シエリ
第2章 上京
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第15話

和人が潮見部屋に入門して1ヶ月後の早朝。潮見部屋の稽古場では厳しい朝稽古が始まろうとしていた。和人はすっかりこの生活に慣れてきていたが、まだまだ日々の稽古は厳しく、ついていくのに精一杯の毎日を過ごしていた。


和人は元気よく朝一番に稽古場に入った。

「佐藤、おはよう」

青の海も稽古場に現れ、和人の肩を叩いた。

「青の海さん、おはようございます」

「今日も稽古は厳しいぞ」

「はい!頑張ります!」


和人は力強く返事をし、体を軽く動かしながら気合いを入れた。兄弟子たちが三人四人と稽古場に集まってくる。


稽古場のあちらこちらでは兄弟子たちが四股を踏んでいる。そして和人の同期である15歳の春風が兄弟子たちにぶつかり稽古をつけてもらっている声が響いた。和人はストレッチや柔軟体操、四股踏みなどをしながら春風の様子をじっと見つめる。


「春風、押せ~、押せ~!」


和人はその様子をじっと見つめ、心の中で焦りを感じつつも、負けじと自分に気合を入れ直した。春風には負けたくない。あいつも頑張ってるんだから…自分はもっと頑張らないと。


そして兄弟子を一生懸命押していた春風が、簡単に投げられ、土俵に転がされる。

土俵の土まみれになった春風はすぐに立ち上がり、兄弟子たちにお礼を言う。


「ごっつぁんでした」

「よし、次は佐藤だ」


青の海が声をかけた。和人は兄弟子にひるまず向かっていく春風の姿を間近にして、

「春風…すごいなぁ…」

と感心しつつ、すぐに自分の番が来たことに気づき気を引き締めた。


「よし!よろしくお願いします!」

「おもいっきり押すんだぞ」

「はい!」


和人は気合を入れ、全力で兄弟子の蓮見に向かって体をぶつけた。


ドンッ!


重い音が響くが蓮見はびくともしない。和人は全力で押し続けるが、なかなか動かすことができない。


「ぐっ、ぐっ…くそぉ…!」

和人は必死に力を込めるが、蓮見の強さに圧倒される。


「佐藤、押せ押せ~!」

同期の春風をはじめ力士たちが声援を送るが、それでも蓮見は動かない。


「うっ…ぐっ…」


和人は汗をかきながら必死に押し続けるが、蓮見は鉄壁のように耐え抜いていた。

そして和人もまた、兄弟子の蓮見に簡単に投げられ、土俵に転がされる。


同じく土まみれになった和人もすぐに立ち上がり、「ごっつぁんでした」と兄弟子たちにお礼の言葉を言う。


「はぁ…はぁ…はぁ…」

と和人は息を切らしながら稽古場の羽目板に手をついた。その顔には少しの達成感が浮かんでいた。


その時、青の海が声をかけた。

「南浜関が起きていらしたぞ。みな、挨拶と一礼!」

和人はすぐに姿勢を正し、他の力士たちとともに稽古場に整列した。


「おはようございます!」

全員が一斉に声を揃え、南浜に向かって頭を下げた。


「おはよう!今日も気合い入れていくぞ!」

南浜が声をかける。彼の貫禄と力強さに、稽古場全体が引き締まった空気に包まれた。


「親方もすぐ来られるからな」

南浜が言い終えると、力士たちは一層気を引き締め、再び稽古を始めた。


「はい!」

和人も大きな声で返事をした。

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