表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/214

95話 俺たちは、仕事を分け合うんだ

ブラック企業で過労死寸前だった俺(赤星勇馬)。

通勤途中で猫を助けようとして命を落とした――その結果、神様から授かったのは「スマホが使える」というチート能力。


転生先は、なんと壇ノ浦で入水する直前の安徳天皇!?

優雅な平安貴族の暮らしを味わいつつ、同時に目にするのは、当時の庶民が背負う悲惨な現実。


「二度目の死だけは、絶対に避けたい!」

ブラック企業よりはマシなこの世界で、俺は未来知識と努力を武器に全力で生き抜いてやる――!

朝――。

地頭屋形の広場には、青景の里人たちが集まっていた。

子どもを背負った女、すすで顔を黒くした男たち、震える老人……皆の目には、不安が色濃く宿っている。

木こりと牛飼いの一家もいる。


「……今日にも誰かが里を捨てて出ていくんじゃないか」

そんな空気が漂っていた。


親父さん――秀通が一歩前に出る。

虎皮を羽織ったトラさんが横に立ち、六さんや源さんも背後で見守っていた。


「青景の民よ!」

親父さんの声が、朝の空に響き渡った。


「昨日の火消し、皆の力で守り抜いた。牛囲いも無事である! だが……我らは試されている。落人狩りの脅威、飢えの不安。もし今のままでは、青景は荒れ果て、人も土地も消えてしまうだろう」


ざわざわと声が広がる。誰もがそれを感じていた。


親父さんは拳を握り、続けた。

「だが、わしは決めた! 青景を『皆で守り、皆で働く里』とする!」


その言葉に、場がしんと静まり返る。


「男は田畑を牛で耕せ。春の田植えの準備を始めよう。

女は竹を編み、縄をなえ。

子どもも手を貸せる仕事をつくる。

牛の乳を搾り、醍醐をつくる。美味い醍醐を貴族様じゃなく青景の里人、皆で分け合う。

この青景は、誰もが役割を持ち、皆で支え合う土地とする!」


俺は一歩前に出て、声を張った。

「そうだ! 安介も地頭の子として、この青景を守る! ここは俺たちの家だ!」

ハヤテと雁丸が俺の頭上で剣を交差した。


「子どもまで……」



誰かがつぶやいた。だが次の瞬間、

「……そうだ。もう逃げるのは嫌だ!」

「ここで生きるんだ!」

と声が重なっていく。

「いつから何を始めるか」

「どこでやるか」

それを里人が相談を始めた。


父を亡くした牛飼いの子が立ち上がった。

「お願いします。牛の世話を一緒にやってください。牛のお乳がぱんぱんなんだ」

牛飼いの妻も立ち上がった。

「うちは、父ちゃんが亡くなって、牛の乳を搾り切れないんです。

いつでもいいし、ちょっとでもいい。台山の《《牛の牧》》に来てください。

乳しぼりと醍醐作り、お伝えします。一緒にやりましょう。

そして、醍醐がたくさんできたら、地頭屋形に運び、皆で分けましょう。

地頭様、いいですよね? もう貴族への献上はやらないって………

親父さんが大きくうなずく。

「醍醐は、青景の里人皆で分けよう!」



まだまだ修行中の さとちゃんペッ! です。

ブックマークしていただけると、とても励みになります!

リアクションやコメントも大歓迎。

感想をいただけたら本当に嬉しいです。


どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ