91話 黒猫クロエのニャンノート「醍醐」
ブラック企業で過労死寸前だった俺(赤星勇馬)。
通勤途中で猫を助けようとして命を落とした――その結果、神様から授かったのは「スマホが使える」というチート能力。
転生先は、なんと壇ノ浦で入水する直前の安徳天皇!?
優雅な平安貴族の暮らしを味わいつつ、同時に目にするのは、当時の庶民が背負う悲惨な現実。
「二度目の死だけは、絶対に避けたい!」
ブラック企業よりはマシなこの世界で、俺は未来知識と努力を武器に全力で生き抜いてやる――!
ミャア 黒猫クロエだよ。 安徳……今は安介。
彼が衣の袂の中にあるスマホを叩くと出てくるニャン。
これは安介が女神さまにもらったチートで、クロエはスマホの音声支援だニャン。 未来の技術で充電は不要だニャ。時々出てくるけれど、みんなにもっともっと愛されたいニャン。
さてさて、みんな
「醍醐味」って言葉、聞いたことあるニャ?
「一番おいしいとこ!」とか「本当の面白さ!」って意味で使うけど、もともとは、食べ物の名前だったんだニャ。
奈良や平安の時代、牛乳からつくられた最高級の乳製品があって、それを「醍醐」って呼んでいたんだ。
作り方は――
乳 → 酪 → 生蘇 → 熟蘇 → 醍醐
という五段階。
最後に残る黄金色の油こそ「醍醐」。まさに乳製品の最終進化形だニャ。
でも、いつしか作られなくなって、みんな忘れちゃった。
そこで登場したのが、宮崎県都城の中西牧場の中西さん!
大量に余って捨てるしかなかった牛乳を「無駄にしたくない」と思って調べ、なんと古代の「醍醐」にたどり着いたんだニャ。
文献を取り寄せ、チベットまで出向いて似た乳製品「シャルトス」を学び、なんと8年かけて醍醐を復活させたんだって!
しかも……50kgの牛乳からたった250ccしかできない超貴重品。ビタミンEは牛乳の30〜40倍なんだニャ。
「醍醐」は写真で見ると、この黄金色の液体。溶かしバターよりもっと濃厚で栄養豊富な食べ物だと思われるニャ。
だからクロエは思うのニャ――
安介たちが青景で醍醐を作ろうとするのは、まさに“歴史の宝”を取り戻すことなんだって!
醍醐のひとつ前の段階で、熟蘇という食べ物があるそうだニャ。
蘇は、絞りたての牛乳を焦げつかないように、7~8時間、煮詰めて水分を飛ばしたもので、牛乳の栄養が凝縮されているもの。小さく切って、口に入れると、香ばしさとまろやかな牛乳の甘みがほんのりと広がるそうで絶品らしいニャ。
写真で見ると、キャラメル色の長方形の固形物だニャ。
お話で作る醍醐はこの熟蘇のことだニャ。
でも、大事な読者さまが紛らわしく思われるといけないので、醍醐で統一するニャ。
そういえば、熊本の阿蘇の蘇と言う字。……今も牧畜で有名だけど、蘇をつくっていた歴史があるんじゃないかニャ?
蘇我氏にもこの字がついてるニャ。関りがあったのかなかったのか?気になるニャー!
まだまだ修行中の さとちゃんペッ! です。
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