表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/57

8話 那須与一(なすのよいち)の名場面

ブラック企業で過労死寸前だった俺(赤星勇馬)は猫を助けようとして死んだ。神様からはスマホが見られるチートを授かり、壇ノ浦で入水する前の安徳天皇に転生する。そこは、平安貴族の優雅な生活を味わいつつも、悲惨な当時の庶民の暮らしを知る。

2度目の死は避けたい俺は、ブラック企業よりはましな今を全力で生き抜く。


~あれ?いつの間にか牛若丸から理想の君主と崇められているんだが~


夜明けとともに、白旗の船が沖に見えた。

いよいよ、源氏の船の登場だ。

――凄い数だ。あんなにたくさん、どこから湧いてきたのだ。


「おい……あれ、全部…源氏の船か?」

船の側面から身を乗り出して雁丸がんまるが低くつぶやく。

「数えてみた。源氏の船、800艘はいる。お味方平家は、約500艘だ」


女たちの声がざわざわと聞こえる。

準備する時間もなく船に乗り込んだ女たちだ。

どの船も高波のうねりに翻弄されている。


ふと見ると、ひときわ目立つ紅い小袖こそでの女がいた。

「きれいなひとだ……」

雁丸は見とれている。

その女はすっと背筋を伸ばし、檜扇ひおうぎを高く掲げた。

波間を挟んで向こうの源氏に、「これを的にしてみろ」と言わんばかり。

紅と金の扇が、初春の陽を受けてきらりと光った。


俺の背後で、黒猫クロエが尻尾をピンと立てた。

「ほらほら来たニャ、ここだニャ。伝説の『扇の的』シーン!

平家の船べりに立てた小さな扇。

それを源氏の弓の名手・那須与一なすのよいちが……」


源氏の陣から一艘そう、小舟が前へ滑り出した。

その船首に立つ若武者が、ゆっくりと弓を引く。

海風が強く、波が高い。それでも腕は揺れない。


「こんな高波じゃ無理だ」

そう言って雁丸は、ひゅうと口笛を吹いた。

弓弦が止まった。――次の瞬間、ビシッという鋭い音が響いた。


紅い扇が、見事に空へ舞い上がる。

光を反射しながらくるくると回り、波間に落ちた。


 「……当てやがった」


周囲が一瞬、静まり返る。

そして次の瞬間、源氏側から大きな歓声とときの声。

対して、平家側の顔から余裕がすっと消えていくのがわかる。


 「こういう一撃が戦全体の流れを変えるんだニャ」

 クロエが俺の肩に飛び乗り、耳元で囁く。


 ――くぅぅ!甲子園の高校野球と一緒じゃないか。

 ――勝負は、流れだよ流れ。

 俺は拳を握りしめた。


 ――やばい、このままだと完全に源氏のペースだ。

 敗因は義経の奇襲だけじゃない、士気がどんどん奪われていく……!


その時、ある男が立ち上がった。

まだまだ修行中のさとちゃんペッ!です。★やリアクション、コメントをいただけると、嬉しいです。感想もぜひ!よろしくよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ