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86話 俺たちは青景での夜は不安と緊張に満ちた

ブラック企業で過労死寸前だった俺(赤星勇馬)。

通勤途中で猫を助けようとして命を落とした――その結果、神様から授かったのは「スマホが使える」というチート能力。


転生先は、なんと壇ノ浦で入水する直前の安徳天皇!?

優雅な平安貴族の暮らしを味わいつつ、同時に目にするのは、当時の庶民が背負う悲惨な現実。


「二度目の死だけは、絶対に避けたい!」

ブラック企業よりはマシなこの世界で、俺は未来知識と努力を武器に全力で生き抜いてやる――!

残ったのは、二人の女だった。


ひとりはサワ。おっとりとした話しぶりで、ほんわかしたお母さんのような温かさがある。

もうひとりはミサ。歯切れよく、ぱきぱきと指示を出す頼もしさがあった。


ふたりともあかいたすきをかけ、白い布で頭をおおっている。

「屋形をご案内します」

声をそろえて、俺たちを中へと導いた。


土間に入ると、ひんやりとした空気に、かまどの匂いが漂う。

「まず、井戸から水を汲み、この水がめに入れます。そして、かまどで飯を炊く。火の神はあそこです」

サワが、かまどの上に貼られたお札を指さした。ゆったりした声は聞いていると眠気を誘う。


ミサは隣で早口にまくしたてる。

「でもね、米はもうないんですよ。戦のどさくさで持ち去られて。雑穀が少しだけ。あとは大根や里芋。それを煮物にして食べます。茎も干して食べるんです。けっこうおいしいですよ!」


……すごい温度差だ。

俺とハヤテは思わず顔を見合わせ、吹き出しそうになる。


土間には大きな飯台が置かれ、草鞋を脱がずに腰を下ろせるようになっていた。

「一度に十人は座れそうだな」

雁丸が感心してつぶやく。


ふたりは履物を脱いで揃え、燭台に火を灯して先を歩く。

「こちらが大広間、あちらが仏様、そこが神棚……」

「おかみさんは戦のあと、実家に戻られました」

「以前の殿さまのお荷物は納屋の二階に……でも、今はもう何もありません。盗賊やら落人狩りやらがここに出入りしていましたので……」


次々と説明が続く。ハヤテは「ふーん」と妙に真剣に聞いていた。


夜。

サワとミサは「家に戻ります」と言って、六さんに送られて帰っていった。


俺たちは大広間で休むことに。

じいさまは「わしは夜中に小便が近い」と言って奥の部屋へ。

俺とハヤテ、雁丸は並んで横になった。


「やっと落ち着いたな」

俺がつぶやくと、ハヤテも「な!」と笑って返した。

まぶたが重くなり、そのまま眠りに落ちた――。


ドンドンドンッ!

ドンドンドンッ!


太鼓をぶっ叩くような音に飛び起きる。

外から大声。


「どなたか、おられるかァ!」


まだまだ修行中の さとちゃんペッ! です。

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