表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/214

66話 俺たちは親父さんを迎えた

ブラック企業で過労死寸前だった俺(赤星勇馬)は猫を助けようとして死んだ。神様からはスマホが見られるチートを授かり、壇ノ浦で入水する前の安徳天皇に転生する。そこは、平安貴族の優雅な生活を味わいつつも、悲惨な当時の庶民の暮らしを知る。

2度目の死は避けたい俺は、ブラック企業よりはましな今を全力で生き抜く。


~あれ?いつの間にか牛若丸から理想の君主と崇められているんだが~

「おい……マジでこれ着るのかよ……」

雁丸が顔を真っ赤にしてぶつぶつ言っている。


「仕方ねえだろ、平家の人間がいたほうがじい様は安心するんだ」

そう言いながら、俺も花ちゃん鈴ちゃんに着替えさせられていた。


「きゃー、かわいい! 安ちゃん!」

「こっちは、雁ちゃん!」


……安ちゃん? 雁ちゃん?

めっちゃ女子扱いされてるんですけど!?


雁丸は半泣きで「やめろーー!」と抵抗していたが、花ちゃん鈴ちゃんが楽しそうだから逃げられない。

(雁ちゃん、似合ってるぞ。多分な!)


だが、遊びじゃない。

俺たちの目的は――


美味い鯛汁を、親父さんに食べてもらうこと。

そして、じい様にも。


そのためなら、女装だってやるさ。


「……じい様の命を助ける……叶うのか……」

不安だ。


頼朝からの沙汰がどう出たのか。

「領地なんか要らない。ただ、平家方に味方した父の命を助けてください」

親父さんの必死の願いは、果たして聞き入れられたのか――。


源氏の家臣たちは三人とも、きちんと身なりを整えていた。

刀を差し、烏帽子をかぶり、凛と立つ。

「今回こそ、秀通様に帰っていただきたい」

そんな祈りを、全身から漂わせている。


一方の俺たち平家組は、じい様の助命を祈るばかり。

九郎なんて朝飯を断って、ひたすら神仏に手を合わせていた。


そして――出発。

俺たちは二艘の舟に分かれ、魚を抱え、炊き出しの準備を整えて亀山様のもとへ向かった。


「これ、鯛な。絶対に食べさせたいんだ」

親父さんに。じい様に。

願いを込めて舟を漕ぐ。


亀山様の港に舟が着く。

「親父さんか?」

「いや、旅人だ」


舟が着く。

「今度こそ、親父さんか?」

「いや、嫁入りの舟だ」


舟が着く――

「今度こそ、……親父さんか?」

「あれは……!


あれは、親父さんだ!!」


家臣たちが駆け出す。

舟の上から手を振っている。

そうだ、秀通様――俺たちの親父さんだ!


親父さんが上陸する。

俺は女装のまま炊き出しの汁をよそい、震える手で器を並べた。

雁丸は短刀を忍ばせ、周囲をにらんでいる。


すぐそばには源氏の役人。

その視線は鋭い。


親父さんは、役人と向き合った。

役人は書状を受け取り、別の役人のもとへ。

さらに回し読み。議論が始まる。



親父さんは深々と頭を下げた。

その姿は石のように動かない。


「……っ」

俺は思わず息を飲む。


ここで決まる――じい様の命が。

まだまだ修行中のさとちゃんペッ!です。ブックマークお願いします。リアクション、コメントをいただけると、嬉しいです。感想もぜひ!よろしくよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ