表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/212

65話 俺たちは寝床を得た。明日は親父さんに……

ブラック企業で過労死寸前だった俺(赤星勇馬)は猫を助けようとして死んだ。神様からはスマホが見られるチートを授かり、壇ノ浦で入水する前の安徳天皇に転生する。そこは、平安貴族の優雅な生活を味わいつつも、悲惨な当時の庶民の暮らしを知る。

2度目の死は避けたい俺は、ブラック企業よりはましな今を全力で生き抜く。


~あれ?いつの間にか牛若丸から理想の君主と崇められているんだが~

夏に寝泊まりしていた小屋?

もう別の連中がちゃっかり住んでいた。

……まあ、ここは助け合いの場だから仕方ない。


で、俺たち蛇島組7人は――浦長の屋形の土間に転がり込んだわけだが。


浦長の若い衆が「俺がちょっくら言ってきてやる」と現れた。

「おいおい、いつまでここでゴロゴロしてんだよ」

って空気になったところで、助け舟が現れた。


源氏組の、

怪力の杉山さん。

炊き出し名人のトラさん。

丸刈り頭の立花さん。


「一緒に住もうぜ」

そう言って部屋に招いてくれたのだ。


蛇島組7人+源氏組3人=合計10人。


……ぎゅうぎゅう。

だが寝られなくはない。いや、寝られるけど交代制。


「屋根があるだけで、座って寝れる!」

「ありがてえええ!」

もうそれだけで大勝利だ。


「でもよ、親父さん(秀通様)が帰ってきたらどうするんだ?」


その一言に場の空気がぴしっと張る。

親父さんと鎌倉組で4人、じい様まで助け出せたら15人になる。


「……立って寝ればいい」

「それはー」

「根性出せばいける!」


いや、でもな……鎌倉から船で戻るんだぞ。何日もかかって疲れ切ってるはずだ。

横にならせてやりたい。


だから俺たちは決めた。


交代で寝る制度!


若手組――俺、ハヤテ、雁丸、九郎、そしてトラさん。

色男組――杉山さん、立花さん、料理屋、六さん、源さん。


「寝るか働くか! それだけだ!」

「昼間でも、仕事がなければ寝る!」

「寝だめして、親父さんを迎えるんだ!」


屋根の下で毛皮にくるまって布団と枕つき。

あったかくして眠れる。

……これ以上の幸せがあるか。


だが、笑い話ばかりではいられない。


「親父さんが村に戻ったら……俺たちもついて行くか?」

「バカ言え。平家の残党ってことは村中が知ってる。すぐ売られるぞ」

「罪を重ねるだけだな……」


空気が重くなる。


「じゃあ蛇島に戻るか?」

沈黙。


そんな中、料理屋が口を開いた。


「毛皮ももらったし、ここで働いて、むしろやら縄やら帆やら、いっぱい持って帰ろう。桶もたらいも。できれば古い船も買ってな」


「……おお」

「蛇島の対岸に家を建てる。田を作る。炭も焼く。追っ手が来たら舟で逃げる。蛇島にも小屋を作って、そこに隠れる。見つかったら、また逃げる」


静まり返った。


「……捕虜囲いだけは、勘弁して欲しいな」

誰かがぼそっと言った。


また沈黙。


だが最後に――

「明日だ。明日、亀山様のところに親父さんが帰ってきたら……なんとかなるさ!」


その一言に、みんなの表情が少しだけ明るくなった。




まだまだ修行中のさとちゃんペッ!です。ブックマークお願いします。リアクション、コメントをいただけると、嬉しいです。感想もぜひ!よろしくよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ