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5話 安徳、やみ討ちされる?

安徳危うし!



曲者くせものは去ったようです」

俺は、女官たちと舟を降りた。

雁丸は一番に降りて、周囲を伺っている。


その時だった。

ビュン

矢が俺の後ろの大木に刺さった。

「やみ討ち?」

「卑怯な!」

「安徳様をお守りしろ」


館の陰に、弓を構えた男がいた。

雁丸が走った。鋭い風が起こった。

一閃。続けて、二閃。雁丸の剣が、舞っていた。


無駄な殺気もなく、ただ「斬るべき時」にだけ、斬る。

だが、決して殺さない。足を斬りつけて動きを封じるにとどめている。

――これは、「守るための剣」だ。

雁丸はただ者じゃない。


数分後、曲者は捕らえられた。

館の者たちは、無事だった。


女官たちはひれ伏し顔を覆っていた。

いきなり矢がとんできたら、誰でもそうなるだろう。

雁丸は静かに剣を収め、俺たちの方を見上げた。

ーーしびれるぜ!

「……ありがとう、雁丸」

雁丸は無言で頷いた。


それから俺は、誰もいない時に剣の型を真似してみた。

へたくそな剣舞をしていた俺に、ふと声がかかった。


「安徳様、肘を下げるんですよっ。はあ、力が逃げるだろっ! 下手くそ」

敬語とため口と罵りの入り交じった声の主は、……雁丸だった。

彼はもう一つ大きなため息をついて、木の枝を拾った。


「仕方ないな……少しだけ教えてやる」

それが、俺と雁丸の「師弟関係」の始まりだった。

指南は、……少しだけじゃなかった。

「根性から鍛え直す!」

十分にスパルタで、六歳男児扱いしていない。


ーーこれじゃまるで「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編じゃないか

山道を走り、滝に打たれ、刀の素振り、そして呼吸法……

「おいおい、もうやめようよ!

令和の時代、これはハラスメントに該当する!」

「弱音を吐くな! もう1周やるぞ!」

「ぐへぇぇ」


母君に祖母君、侍女の伊勢が扇を揺らして応援していた。

読んでくださって、ありがとうございます。

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