表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/214

31話 親父さん鎌倉へ出発 どうかご無事で

ブラック企業で過労死寸前だった俺(赤星勇馬)は猫を助けようとして死んだ。神様からはスマホが見られるチートを授かり、壇ノ浦で入水する前の安徳天皇に転生する。そこは、平安貴族の優雅な生活を味わいつつも、悲惨な当時の庶民の暮らしを知る。

2度目の死は避けたい俺は、ブラック企業よりはましな今を全力で生き抜く。


~あれ?いつの間にか牛若丸から理想の君主と崇められているんだが~


漁から帰る船の帆が、風に大きくふくらんでいる。

網の中には跳ねる魚たち。今日も大漁だ。

さっさと帰って、朝飯だ!


女や年寄りが漁船を迎えに来ている。

もやいを投げると、お花ちゃんが受け取りくいくくってくれた。

今日も赤い前掛け姿が可愛い。

「お花ちゃーん。ありがとーー!」

「安ちゃん、今日もお手伝い頑張ったね。大きくなったら立派な漁師さんになれるよ」

嬉しい嬉しい。弟扱いだけど、……ハヤテがふくれている。


さあ、腹ペコだ。朝飯を食うぞ。

おおっと、焚き火の煙がこっちにきた。目に染みる。


港の朝は、なぜか煙と人の声でいっぱいだった。

大きな船の周りには、鎧を着た侍や荷を運ぶ者たちがせわしなく動き回っている。

その中心に――親父さん、藤原秀通(ひでみち)の背中があった。

あの平家の侍のじいさまとそっくりの背中をもっている、……息子なのだ。


「親父さん? 鎌倉……行くのか?」

 俺の声は、雑踏に紛れたかと思われた。

 けれど、親父さんは気づいて振り向くいた。


「ああ、安介さ……ん。必ず戻る。待っててくれ……礼をしたい」

 そう言って、俺の肩を軽く叩く。

 この人、本気だ。本気で父親の助命するんだ。


 ――でも、そんなことして、本当に戻ってこられるのか?

 鎌倉には、残酷な源頼朝がいる。弟の義経さえも殺そうとする。


男たちが声をかける。

「親父さん!」

「おお!!」

「……お気をつけて」


おやじさんは短くうなずき、船へと向かう。

他にも3人の家臣が乗り込んでいった。

見送りは、3人だ。


潮が満ち、船は静かに動き出した。


船の別れは、なぜか涙をさそう。

残った侍たちが手を振っている。


残った侍たちは、明日も同郷の人を探し、遺体を埋めるのだろうか。

今の馬関は……暑さも手伝って遺体の匂いがキツイ。

お盆の真っただ中です。平家の侍の霊も帰ってきているでしょう。下関には、平家一門の墓「七盛塚(平家塚)」があります。今夜あたり、霊たちが宴会などをしているかも。

まだまだ修行中のさとちゃんペッ!です。★やリアクション、コメントをいただけると、嬉しいです。感想もぜひ!よろしくよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ