109話 本物の落ち武者狩りは殺気漂う男たち
ブラック企業で過労死寸前だった俺(赤星勇馬)。
通勤途中で猫を助けようとして命を落とした――その結果、神様から授かったのは「スマホが使える」というチート能力。
転生先は、なんと壇ノ浦で入水する直前の安徳天皇!?
優雅な平安貴族の暮らしを味わいつつ、同時に目にするのは、当時の庶民が背負う悲惨な現実。
「二度目の死だけは、絶対に避けたい!」
ブラック企業よりはマシなこの世界で、俺は未来知識と努力を武器に全力で生き抜いてやる――!
「……地頭のところへ連れていけ」
刺客の一人が低く言い放つ。
――あああ、雁丸。早く来て……!
心の中で俺は叫んだ。
目の前で短刀を抜いている刺客。
奴らこそが、火の里を焼き尽くした……本物の落人狩りに違いない。
石段の下にたどり着くと、見張りに立っていた雁丸が剣に手をかけた。
その気配に、俺の背筋が凍る。
雁丸、やめてくれ。
ここで斬り合いになったら血の雨が降る。
唐突にハヤテが声を張る。
「おじさん、醍醐はいかが?」
刺客の一人が興味をもったようだ。
「ん? 醍醐?……ここにはそんなものがあるのか?!」
空気が一瞬揺らぐ。
その時、トラが石段を下りてきた。
すぐさま雁丸、源さん、六さんが周囲を固め、刺客四人を取り囲む。
「……地頭に会わせろ」
男たちの声はぶっきらぼうで、表情はまるで石のように固い。
石段をあがり、やがて屋形の広間につく。
親父さん――秀通が座に着き、四人を迎えた。
トラさんが厳かに語る。
「親父殿は頼朝様からの御恩を受けている。その証もある」
男はイラつきを隠さない。
「ああ、ああ、そういうことはわかっておる! 平の景清。……《《あくしちひょうべえ》》などと呼ばれている景清だ。奴を見つけた。この里に潜んでいるのであろう」
親父さんは穏やかに語り始めた。
「景清などという者? 知らぬ。もしこの地に立ち寄ることあらば、すぐにお知らせする所存」
声は落ち着いていて、揺るがなかった。
「子どもたちはそのお方と遊んでおっただけだ。馬を見せてもらったに過ぎぬ」
親父さんは微笑みさえ浮かべ、杯を差し出す。
「その景清とやらを地頭の命で捜索いたそう。さあ、四人の衆。この屋形でゆっくりとお過ごしください。」
男たちは互いに目を見合わせた。
隙を見せぬまま、黙って席に着く。
――屋形に漂う空気は、刀の刃のように張りつめたままだった。
まだまだ修行中の さとちゃんペッ! です。
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