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第9話 新入部員。

アヒムとは全くと言っていいほど関わらずに、1年が過ぎた。


もちろん新入生歓迎パーティーだの、ダンスの公開練習会だの…本来ならば婚約者候補と手を取るべき機会自体はあったが。お誘いもなければ、もちろんお誘いできない言い訳もない。


剣術クラブの生徒は、警備の補助もするというので、そっちに回してもらった。

もちろん婚約者がいる子は、行事に参加。

アヒムはかわいい女の子の手を取って、楽しそうに参加していた。

この女の子は…どうも、私が入学式に見かけた子じゃなくて、同じ1年生かな?


はあ。どうでもいいんですけどね。めんどくさ。


3年生に上がったとき、奴はやはりCクラスだった。

まあ、もちろん、勉学だけで人を見る気はないが…。


*****


「フロレンツィア様は騎士養成学校に進まれるんですか?」


3年生になった部長に何げなく聞いてみた。歴史と実績のあるこの学院の剣術クラブは騎士養成学校に推薦枠がある。それが目的で剣術クラブに入る子もいる。貴族とはいえ、次男や三男は就職先や婿入り先が必要だから。


「ん?私か?それもいいがなあ…。私の婚約者が、すぐにでも結婚したいらしいから、卒業したら結婚かなあ。そのためには私の婚約者が仕えている上司に結婚してもらわなくちゃいけないんだけどね。順番だから。」

「え?」

「意外か?あははっ。」

「ええ。なんというか…。もったいなくはないですか?部長がすぐ結婚なんて。」

「そうか?」


いつものようにお茶を出してくれていた副部長が、ふふっと鼻で笑う。

「置かれた立場で、実力を発揮すればいいことでしょう?」


「・・・まあ、それもそうですね。」


お弁当を広げていると、新入生の入部希望者が何人か入ってきた。

総勢、9名。今年は多いね。


食後に、例によって一年生と手合わせをすることになった。

「エレオノーレ、行く?」

「はい。」


靴を脱いで裸足になって、模擬刀を軽く振る。

「はい。どなたからでもどうぞ。」


「チェ、部長ならまだしも…女かよ?」


え?聞こえてるけど?てことは、自信満々?へえ、将来楽しみね?


「はい次。」


「女だと思って手加減したのか?バカだな。」


はい。君も結構バカ。


「はい次。」


「女なんか、剣を振り回してないでおとなしくしてりゃあいいのに!」


あーーー今年は不作ですね。


「はい次。」


前半の子は勢いはあったのに、性格が残念。

後半は普通。

で、この子が最後。


「はい、頑張って。相手はもう8人と戦っているからねえ!」


「はい。よろしくお願いします。先輩。」


まあ!先輩か…ついに私も先輩と呼ばれるようになったのか。結構いいわね。

この子…剣筋はすごくいいのに…実践向けじゃなーい!はい、おしまい。


「ありがとうございました。」


「いえ。どういたしまして。」


結局、入部が許可されたのは5人。今年は女の子はいなかったな。



入部許可が下りなかった子たちが、悪態をついて出ていく。聞こえてますけど?


「俺はな、少し調子が悪かっただけだ。いつもはもっとできるんだ。」

「俺だってこれから伸びると先生に言われていたし、ほんの一回の手合わせで何がわかるって言うんだ!」

「俺もな、女相手だから本気出せなかっただけだ!」



ああ…こういうこと言う子は…みんな一緒ね。《《そこ》》じゃないんだけどな。








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