第11話 先輩。
副部長とのお茶会も長くなった。
いつも王立図書館の個室のティ―ルームだけどね。
よく話すことがあるな、と、自分でも感心するほど会話が進む。
(こういう兄がいたらよかったな。そしたら兄に領地はお任せして…まあ、今のところ好きな子もいないけど…好きな子と結婚しようとかって思えたのかもな。)
「ふーん、お前は自分の領地を見るのは重圧?」
あら?声がでていましたか。
「うん?そんなことはないですよ。小さいころから当たり前のように父の仕事を見てきましたし、手伝ってきましたから。領地経営は任せとけって感じ?それは良いんですけどね…。一人娘だから婿を取ることになるじゃないですか?婿取がね…。めんどくさい。」
「みんな一緒でしょう?嫁を取るのだってめんどくさそうだよ?」
「・・・そっか。領地を継いでいくのにどうしても必要ですものね。」
副部長…いい人だなあ…
アヒムが嫌だと断っても、次に現れる婚約者がいい人とも限らない。
捕まえて来いって言われてもな…。
ある意味、アヒムがいるからこその自由な時間でもあるし。
また「はじめまして」から始めても、人の本性なんかそう早くはわからないしね。
まあ、貴族の結婚なんか、そんなものなのかもね。
*****
放課後、基礎トレーニングをしてから1年生と何度か打ち合う。
部長は副部長と一緒に3年生と2年生を相手にしている。
同期はもちろんだが、男の子は成長が早いね。筋肉が付いてきて、コツさえつかめば、どんどん上達していく。
1年生の中で一番背の低い子も、そのうち私を追い越していくんだろうな…。身長も、剣の腕も。
「君はあんまり筋トレはしない方がいいね。これから身長が伸びるときに筋肉をつけすぎると、伸びにくくなるからね。ゆるーくトレーニングしたほうがいいね。技術的には十分だよ。」
「君は、構えるときに無駄に力が入ってるね、もっと脱力できるといいね。それ以外は良いと思うよ。」
一人一人、良いところを拾いながらアドバイスしていく。
隣で部長はオラオラの指導をしている。
「詰めが甘い!」
「腕が下がりすぎ!」
「足元見る必要はない!!」
さすがです。