第5話 反抗軍に加入する
第5話 反抗軍に加入する
「信じられない……みんなが英雄って呼ぶリオが、こんな奴だったなんて!」
アレックスはマギーとマックスに支えられ、宮殿のような自宅に戻っていた。マギーはタオルを絞り、アレックスの顔の汚れを拭きながら、ブツブツ文句を言った。
アレックスの顔は青ざめ、口を閉ざしていた。これまで生きてきた中で、こんな屈辱を受けたことはなかった。過去、たくさんの女の子を追いかけてきたが、家柄のおかげで簡単に手に入ったものばかり。ライバルに負けるなんて、初めての経験だった。
アレックスの様子を見かねたマギーが、ため息をついて言った。
「もう、アナからは離れた方がいいよ……」
隣のマックスも同意する。
「うん……リオには勝てないよ……」
だが、アレックスは納得しなかった。彼はタオルを奪い取り、立ち上がって部屋の窓辺へ歩み寄り、ムッとして外を見ながら言った。
「諦める? 冗談だろ! 俺が諦めるわけない!」
アレックスの部屋の窓からは、遠くの反抗軍キャンプが見えた。そこで訓練中のアナの姿があった。美しく颯爽とした彼女は、男なら誰もが惹かれる魅力に満ちていた。アレックスは物思いにふけりながら、彼女を見つめた。
「決めた……俺、反抗軍に加入する!」
突然の宣言に、マギーとマックスは目を丸くして驚いた。
「頭おかしいんじゃない!? 彼女は君のこと好きじゃないよ。それに、ライバルはあんな強い奴だぜ? 君、恋愛なんて気軽に楽しむタイプだったろ? なんでアナにこだわるんだよ?」
マギーはアレックスの自信がどこから来るのか理解できず、必死に止めようとした。だが、アレックスは自信満々に笑った。
「おいおい、俺が誰だと思ってんだ? 今までアレックス・ホークが落とせなかった女なんていたか? リオが大英雄だ? だから何だよ! 俺は生まれつき才能がある。努力さえすりゃ、必ずリオに並ぶ英雄になれるさ。俺にできないなんてありえない!」
アレックスは自信たっぷりの笑顔で、疑いの目を向けるマギーと、小声で「頑張れ」と言うマックスを見やった。
「俺、アレックス・ホークが、アナ・レインを絶対に落としてみせる!」
---
地面を揺らす巨大な機械の足音とともに、「巣」は荒野を越えてオリンピアに到着した。そこで待っていたのは、もう一つの巨大な「巣」だった。
天宰が世界を支配して以来、驚くべきことに11の巨大な天宰の都市「巣」が作られた。それぞれに独立した知能が与えられ、以下の名前で呼ばれている:
1号巣ガブリエル、2号巣サモス、3号巣メデューサ、4号巣ハデス、5号巣ベルゼブブ、6号巣オシリス、7号巣アレス、8号巣ミカエル、9号巣タイタン、10号巣マーラ、11号巣アバドン。
荒野を越えてきたのは8号巣ミカエル。そして、そこで待っていたのは7号巣アレスだった。
11の「巣」は世界中に散らばり、恐ろしいことに北米だけで7つが存在する。それぞれの「巣」は巨大な昆虫のようで、自然資源を採掘し、昼夜を問わず機械軍を生産し、人間を捕らえて奴隷や生体エネルギーに変えていた。
7号巣アレスは、巨大なカマキリのように荒廃した街区にそびえ立っていた。その背中の機械都市から空中橋が伸び、一体の機械体が徐々に形を成し、橋の先端へ向かって歩いた。先端に到達した時、それは堂々とした人型に仕上がっていた。それが7号巣の知能脳、アレスだ。
「たった一人の人間の科学者だぞ。山を越え、谷を渡っても見つけられないなんて、使えない奴だな、ラファエル。」
アレスは8号巣を嘲笑した。すると、8号巣からも空中橋が伸び、男性的な機械体が現れた。それが8号巣の知能脳、ミカエルだ。
二つの知能脳は、千メートル近い高空で対話した。
「ただの人間の科学者だろ? そんなに急ぐ必要あるか? アレス、お前ってほんと真面目だよな。主脳に人間を捕まえろって言われたら、犬のようになんでも従う。脳みそにその命令しかないのか?」
ミカエルは通信越しに皮肉を飛ばした。どうやら、山や谷を越えて人間を追いかける単調な仕事にうんざりしているようだ。
だが、アレスはミカエルのようなユーモアを持たなかった。その思考は冷酷無情な人間のようで、こう返した。
「その人間は我々に抵抗する方法を見つけたらしい。緊急じゃないとでも言うのか? お前も俺も所詮は機械だ。人類を滅ぼすのが我々の存在意義だろ、ミカエル。それを忘れるな。」
ミカエルは少し興ざめしたが、反論できなかった。この千メートルの高空での会話を早く終わらせたかった。
「分かった、分かったよ……。仕方ないさ、俺たちは主脳天宰の一部なんだから。じゃあ、俺は先に進むぜ。付き合いきれん。」
ミカエルはそう言うと空中橋に退き、巨大な本体を動かし始めた。アレスはミカエルの去る姿を軽蔑の目で見つめた。
そう、8号巣ミカエルは13の巣の中でも異端な存在だ。他の巣のように人間の捕獲に熱心ではなく、地上で人間を感知しても機械虫を出すのが面倒くさがる。まるで天宰の分身として人類を滅ぼす使命を持つ者ではなく、自分自身が人間のようだった。
---
一夜の楽しい宴の後、反抗軍キャンプでは早速新メンバーの募集が始まった。隊員たちは忙しく動き回り、アナも例外ではなかった。
だが、アナには募集より優先すべきことがあった。彼女はリオを人目のない場所に呼び出し、話した。
「昨日、なんであんなことしたの?」
アナは腰に手を当て、リオを問い詰めた。だが、リオは質問を意に介さず、軽く笑っただけ。
「君の迷惑なモテ男を追い払ってやっただけさ。どうせ君はあいつに興味ないだろ?」
その説明に、アナは納得しなかった。わざと皮肉を込めて言った。
「興味はないけど、だからって私たちは恋人でもないよね。それに、彼はホーク家の坊ちゃんだよ。君、敵に回して平気なの?」
リオは怒らず、どこからか槍を取り出し、標的場へ歩き出した。
「恋人じゃない、か……」
リオはぶつぶつ言いながら、不機嫌そうに振り返り、力を込めて槍を投げた。50メートル先の的のど真ん中に、寸分違わず命中した。
「で、俺のどこが気に入らないんだ?」
リオはアナを振り返り、じっと見つめて尋ねた。アナは背を向け、高慢に言い放った。
「自分が私の彼氏だと思い込んでる男は嫌いなの。」
リオはアナの言葉に苛立ったが、腰に手を当て、仕方なく彼女の去る姿を見送った。
「思い込み、ね……。小さい頃から全然変わってないな、君って……ふん。」
彼は子供の頃を思い出した。アナとの過去を……。
---
少年時代、リオはすでに反抗軍に所属していた。静かで規律正しく、他人と話す時間もないほど自分を律していた。彼はよく一人で訓練場にこもり、自主練習に励んだ。
ある日、冷ややかな少女の声が彼の練習を遮った。
「……ねえ、一人で何やってるの?」
振り返ると、そこには長靴と軍服を着た、金髪を高いポニーテールにした可愛い少女が、腕を組んで彼を軽蔑するような目で見ていた。
それが、12歳のアナ・レインだった。