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第21話 第2の増幅


第21話 第2の増幅



機械イカが包囲を狭め、触手が獲物を狙って蠢いていた。弾はほとんど残っていない。


皆が苦戦する中、アレックスは決断した。残り2回の気場増幅を使い、敵を殲滅するしかない。


ただし、問題があった。この力を誰にも知られてはならない。そのため、皆を遠ざける必要があった。


アレックスは小さな声で腕時計に尋ねた。


「レイ、みんなを先に逃がす方法は?」


知能腕時計が即座に答えた。


「地面の砂塵を利用して知能機械を撹乱し、足止めできるよ。」


アレックスは地面の土を見やり、アイデアを思いついた。彼は密かに気を発動させ、砂塵を空中に巻き上げ、小さな砂嵐を起こした。


舞い上がる砂塵が戦場を灰色に包み込んだ。アレックスの現在の能力ではこの程度が限界だったが、狙い通りの効果を上げていた。


混乱の中、アレックスはチャドを見つけ、彼を掴んで言った。


「今だ! みんなを連れて逃げて!」


チャドは突然の砂嵐の原因は分からなかったが、これが撤退の絶好の機会だと悟った。彼は皆に叫んだ。


「急げ! 砂嵐に乗じて全員逃げるぞ!」


皆は砂嵐の掩護を受け、数キロ先の森へ全力で逃げ込み、隠れた。息を切らし、恐怖に震えながら、チャドは落ち着いて尋ねた。


「誰か……一緒に来ていない奴はいるか?」


アナがすぐに気づいた。


「アレックスとリオがいない!」


---


その頃、アレックスは皆が逃げ切ったのを見届け、砂嵐を止めた。砂煙が晴れると、彼はたった一人で、そびえ立ち無数の触手を振り回す機械イカと対峙していた。


アレックスは腕時計に尋ねた。


「レイ、次はどうする?」


彼はレイが何か戦略を提示してくれると期待したが、しばらくしてレイは一言だけ発した。


「走れ。」


アレックスは目を丸くした。


「待て、冗談だろ? もっと具体的な指示はないのか?」


無情にも腕時計はそれ以上の助言を与えず、触手が次々と襲いかかってきた。アレックスは気を使って巧みに避けた。


すると、レイが言った。


「後で指示を出すよ。でも、今はもう一つの厄介事を片付けなきゃ。」


アレックスは戦いながら好奇心で尋ねた。


「今より厄介なことって何だよ?」


腕時計が答えた。


「まだ一人、遠ざけられていない人がいる。」


アレックスは緊張して周囲を見回し、驚くべきことに、対面で機械イカの触手と単独で戦う人影を見つけた。リオだった。


「……まさか、あいつ!?」


誰でもいい、ただリオだけは困る。アレックスは頑固で嫌いな「英雄のライバル」をどうやって遠ざけるか頭を悩ませた。


だが、状況は選ばせてくれなかった。アレックスは嫌々ながらもリオを助けに向かった。


「ちくしょう! もうどうでもいい!」


アレックスは白目をむきながら触手の攻撃を避け、リオの元へ走った。リオは銃を撃ち、触手の突き刺しを必死で避けていた。


リオは数本の触手を破壊したが、所詮は人間だ。力尽きる瞬間が来た。不注意から触手に首を絡め取られ、締め上げられた。


「みんなを逃がしたけど、俺は逃げられなかった……ここで終わりか……」


リオは絶望に沈んだ。皆の撤退を掩護するため遅れて逃げたが、死に直面していた。


その瞬間、人影が飛び込んできて、首を締める触手を掴んだ。触手は制御を失ったように緩んだ。


「……お前!?」


リオが我に返ると、そこにはアレックスがいた。なぜ彼がまだここにいるのか、しかも手を振って見えない力で触手に対抗しているのか、想像もできなかった。


「何ボケッとしてんだ! 早く走れ!」


アレックスは気で複数の触手を絡ませて結び、隙を作り、呆然とするリオに叫んだ。彼を掴んで一緒に走り出した。


アレックスとリオは野道を走り、背後では機械イカが不気味な動きで追いかけ、触手を伸ばして攻撃してきた。


「なんでお前があいつらと戦えるんだ!? 弱虫だっただろ! 数日でなんでそんなに強くなった!?」


走りながらリオがしつこく尋ねたが、アレックスが本当のことを話すわけがない。


「信じろ、さっきのは全部お前の幻覚だ!」


アレックスはしらを切り続けた。その時、腕時計が再び話した。


「増幅の時間だ。」


アレックスが待っていた瞬間だ。彼は突然立ち止まり、リオもつられて止まった。


「何!? なんで止まるんだ!?」


リオが焦って尋ねると、アレックスは真剣な顔で彼を見て言った。


「お前を気絶させるためだ。」


リオが言葉の意味を理解する前に、アレックスは不意打ちで拳を振り、彼を気絶させた。


アレックスは振り返り、迫りくる機械イカを見据え、レイに言った。


「さあ、増幅を起動だ!」


その瞬間、知能腕時計が再び青い光を放ち始めた。


巨大な機械イカが殺到し、無数の触手が2人を襲った。


アレックスは右手を高く掲げた。透明だった気が一瞬で砂嵐のような煙塵に変わり、強力な気壁を形成してすべての触手を防ぎ、がっちり絡め取った。


機械イカは驚いたように激しく気壁から逃れようとしたが、気壁は嵐のように勢いを増し、強大な技の前触れのようだった。


アレックスは鋭い目で知能機械を見据え、言い放った。


「かかってこい……人類の新しい力を見せてやる!」



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