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第17話 タコマ市到着


第17話 タコマ市到着



「みんなと知り合ってまだ日が浅い。だから、一緒に来てくれとは言えない……でも、俺は好きな女を救いに行きたい。彼女に認められたいんだ。こんな浅はかな考えに賛同できないなら、それでもいい。俺一人で行くよ……」


アレックスの言葉が終わらないうちに、マックスとニックが我先にと手を挙げた。アレックスは感動した。さすが親友だ。さらに驚いたことに、残りのメンバーも次々と手を挙げ、賛同を示した。


皆の支持に、アレックスは感動しつつも疑問を口にした。


「お前ら……危険じゃないかって怖くないのか?」


ジョイが代表して答えた。


「冗談だろ……捜索任務に失敗して岩丘谷に戻っても、ただバカにされるだけだ。誰かを救って、俺たちを見下す奴らの口を塞いでやるよ!」


他のメンバーも賛同した。普段は周縁に追いやられる彼らにとって、知能機械に捕まることや死ぬことへの恐怖は、日常的に自分たちをいじめる臆病な新兵たちに比べれば大したことではなかった。


チャドは皆の目標が一致したのを喜び、力強く宣言した。


「全員一致なら、タコマへ向かうぞ!」


こうして、第6小隊は高速道路を進み、タコマを目指した。危険が待ち受け、殺人マシンに常に警戒しなければならない中でも、志を同じくする仲間と一緒であることが何よりも心強かった。


道中、チャドは訓練わずか数日の新兵たちに、知能機械との戦闘技術や生き延びる術を急ピッチで教えた。皆はできる限り吸収した。






夜、彼らは住宅街の隠れた地下室で休息を取った。アレックスは、チャドの気分がオリンピアにいた時より明らかに良くなっていることに気づいた。チャドも皆と一緒に火を囲んで食事をし、和気あいあいとした雰囲気が漂っていた。


深夜、アレックスはまたこっそり起き出した。今回はチャドが熟睡しているのを確認し、安心して地下室を抜け出した。


実はこの数日、毎晩深夜に抜け出して気功の修練を続けていた。そして今日、ついに努力の成果を手にしていた。


「準備できた、レイ!」


隠れた森の中で、アレックスは姿勢を整え、意気込んだ。知能腕時計「レイ」が応じた。


「始めよう、アレックス。」


アレックスはゆっくりと右手を上げ、手のひらを上にした。彼は心を集中し、体内を小さな銀河とイメージした。無数の星々が活発に動き、星々が移り変わり、すべてが手に集まる。まるで無限の希望が掌に宿るかのように。


ついに、透明な気旋が手のひらに現れた。小さなものだったが、十分な成果だった。


アレックスは気を緩めず、気旋をじっと見つめた。気を集めることに成功した今、次の課題に進む時だ。


彼は近くの木の葉に視線を向け、気合を込めて叫んだ。


「ハッ!」


手を振ると、気旋がまるで見えないロープのように急速に伸び、葉を正確に捉えた。


アレックスは気が葉を掴んだのを感じ、自信を持って手を引いた。驚くべきことに、葉は空中で摘み取られ、しばらく漂ってから地面に落ちた。


「やっとできた……俺、気を使えるようになった!」


初めて気を使って遠隔で葉を摘むことに成功し、アレックスは興奮と驚きでいっぱいだった。これは腕時計の補助なしで成し遂げた、大きな意味を持つ成果だった。


「おめでとう、気を使えるようになったね。でも、破壊力のある第1層級にはまだ遠い。頑張り続けなさい。」


「レイ」の言葉に、アレックスは気づいた。機械蜘蛛を撃退した時の気旋は褐色の塵の渦だったが、今の気旋は風のように透明だ。彼は疑問を口にした。


「なんで俺の気旋は透明なんだ? ……『第1層級』って何?」


その問いに、腕時計の画面が空中に映像を投影し、説明を始めた。


「ギャワン・ツェリン・ドルジェ博士の理論によると、気――つまり撓場は7つの層級に分かれる。青、緑、黄、橙、赤、紫、白の7色だ。攻撃や防御に使える気は煙塵のようで、各層級に対応した色の火花を帯びる。」


アレックスは眉をひそめて尋ねた。


「じゃあ、透明な気は……?」


レイが答えた。


「0層級。透明な0層級の気には爆発力がない。小さな物体を遠隔操作する程度だ。」


それを聞いて、アレックスは膝をつき、泣き笑いのような表情で言った。


「つまり、俺が今アナを救いに行って英雄になろうとしても、小石を動かすくらいしかできないってか……最悪だ……」


アレックスは少し騙された気分で地面に座り込んだが、レイが励ました。


「バカなこと言わないで。気功が簡単に習得できると思う? 落ち込むな。君にはまだ2回の、私が力を引き出すチャンスがあるじゃない。」


アレックスは確かにそうだと思い直した。2回の強力な力を引き出せる機会があるのだ。タイミングをうまく使えば、アナを救い、彼女に一目置かれることだってできる。


「……分かった。気功を続けるよ。絶対最短で第1層級に到達してみせる!」


アレックスは立ち上がり、自分を励まして気功の修練を続け、夜が明けるまで続けた。





翌日正午、アレックスたちはタコマ市郊外に到着した。高速道路から見えるタコマは荒廃し、壊れた家々が「巣」の襲撃を物語っていた。まるでハリケーンが通り過ぎたようで、煙がまだ燻っていた。


「ここがタコマ市か?」


アレックスは厳粛に尋ねた。冒険にワクワクしていた他のメンバーも、遠くに近百体の知能機械が街を徘徊する姿を見て、表情を硬くした。


「うわ……オリンピアで見た数と比べると、めっちゃ多いな……」


ゴードンが双眼鏡で眺めながら呟いた。他のメンバーも不安を覚えた。


「こんな中で、どうやって閉じ込められた反抗軍を見つけるんだ……?」


ブレンダが眉をひそめて疑問を口にした。


この難局を前に、チャドは全員を集め、作戦を話し合った。


「正面から突っ込んだら、すぐに捕まる。だから、陽動作戦だ。奴らを市街地から引き離し、その隙にここにいる反抗軍と連絡を取り、人を救ってすぐ逃げる。」


ジョイが尋ねた。


「どうやって引き離すんだ……?」


すると、ディランとジョンが即座に手を挙げた。


「俺たちに任せて!」




タコマ市の通りでは、醜悪な機械蜘蛛が赤外線で探索し、人型の機械兵がマシンガンを持って冷酷に巡回していた。街角の家の地下室の小さな通気窓から、一対の目がその様子を観察していた。


「『巣』が去ったからか、知能機械の捜索が前ほど積極的じゃなくなってる……今なら脱出のチャンスだ!」


観察していたのはリオだった。彼は今がタコマを脱出する絶好の機会だと判断し、銃の準備を始めた。負傷者の一人が限界に近く、急いで岩丘谷に連れ戻して治療が必要だった。


アナも負けていない。この数日、地下室の使える物を漁り、弓と数本の燃焼矢を作り上げていた。銃に加え、戦闘力を大幅に強化していた。


「突撃の準備だ!」


アナは無駄口を叩かず、銃と弓を手に、ドアのそばでリオと並んだ。ドアを開け、血路を切り開く準備が整った。


だが、彼らが飛び出す直前、けたたましい警笛の音がすべてを切り裂いた……。



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