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第1話 異能を持つ青年との雪原の再会


第1話 異能を持つ青年との雪原の再会



ある言葉がこう言った。


「生命は必ず自らの道を見つける。」


どんな過酷な環境でも、いつか必ず絶望から甦り、枯れ木に春が訪れ、生命力に満ち溢れる。


「俺はアレックス・ホーク。もし俺の声が聞こえているなら、俺を見つけてくれ。ここで避難所を提供できる。疑う気持ちは分かる。でも信じてくれ、俺には君を守る力がある。」


グリーンランドの氷に覆われた雪原で、電波信号が繰り返し流れていた。ここは人間が生きるにはあまりにも寒く厳しい場所だ。それでもこの信号は、誰かが必ず来ると確信しているかのように、執拗に響き続ける。


そして、その賭けは正しかった。白銀の地平線に、かすかな人影が苦労しながら近づいてきた。厚手のフード付きコートに身を包み、背中にバックパックを背負い、銃を手に雪の中を走るその人物は、満身創痍だった。まるで何か恐ろしいものが追いかけてくるかのように。


その背後から、巨大な飛行物体が静かに浮上した。F-22戦闘機とオスプレイ輸送機の特徴を融合させたようなその機体は、空中で旋回しながら彼を見下ろしていた。


「くそっ!やっぱり追われた!」


その人物は悔しそうに呟いた。


フードを払いのけると、動きのある長い髪と野球帽が現れた。なんと、それは女性だった。清秀な顔立ちだが、表情は果敢そのもの。


彼女に選択肢はなかった。ライフルを構えて撃つが、銃声はこの無人戦闘機には全く効かない。飛行機の腹部が開き、金属の骸骨のようなロボットたちが次々と飛び降りてくる。それぞれが重機関銃を手に、冷酷に彼女に迫る。


「キラー」——この非人間的な存在は、聞くだけで人を震え上がらせる。そしてさらに恐ろしいのは、鋼鉄で作られた機械の狼たちが彼女に襲いかかってきたことだ。


「バン!バン!バン!」


彼女の射撃は正確だったが、機械の狼には傷一つつけられない。もう駄目かと思われた瞬間、遠くから低く響く爆裂音が聞こえた。


空気が一瞬固まり、すぐに爆発。巨大な衝撃波が機械の狼を遠くへ吹き飛ばした。


彼女はホッと息をつき、音のした方を見た。雪原の先に、茶色のマフラーを巻いた青年がゆっくりと歩いてくる。細身だが堂々とした体躯、落ち着いた眼差し、余裕のある仕草。


「やっと……」


彼女は小さく呟いた。


キラーと機械の狼は新たな脅威を察知し、標的を青年に変更。火力を一斉に集中させた。彼女は叫んだ。


「気をつけて!」


機械の狼が飛びかかる。青年は両手を挙げ、素早く印を結んだ。手から煙が弾け、青い火花を帯びながら彼を包む。


青年が掌を開くと、煙は洪水のように機械の狼を飲み込んだ。さっきまで牙をむいていた鋼鉄の獣は空中で静止し、次の瞬間、互いに高速で衝突し、爆発の残骸と化した。


キラーたちが発砲を始める。弾丸が雨のように青年に降り注ぐが、彼は軽やかに跳び、銃弾をかわしてキラーのそばに着地。両拳を振り下ろすたびに衝撃波が響き、キラーを吹き飛ばす。


最後、彼は両手を掲げ、見えない空気の力を操り、すべての敵を粉砕。煙を上げる残骸だけが残った。


「上!気をつけて!」


彼女が空を指さす。無人飛行機がミサイルポッドを開き、発射準備をしていた。


青年は右手を上げ、気を集中。ミサイルが発射された瞬間、彼はそれを操り、軌道を外させて周囲の雪原で爆発させた。飛行機は形勢不利と見て逃げようとする。


「逃がすな!」


彼女が叫ぶ。


青年は頷き、掌から濃い煙を放ち、飛行機を絡めとる。飛行機は必死に抵抗し、彼を海岸まで引きずっていく。


だが、彼は隙を見つけ、全力を集中。一撃で飛行機のエンジンを破壊した。無人機は炎と煙を上げながら海に沈む。



彼女は雪の上にへたり込み、息を切らしていた。海辺から戻ってくる青年を見て、力を振り絞って立ち上がり、彼に駆け寄る。青年もマフラーを下ろし、端正な顔を露わにし、彼女に歩み寄る。



二人は雪の中で強く抱き合った。


「アレックス・ホーク……一年ぶりだ。ずっと探してた……」


彼女の声は震え、目に涙が溢れる。


「ごめん、マギー。待たせてしまった。」


アレックスは彼女の涙をそっと拭い、再び彼女を抱きしめた。この再会は、数々の試練を乗り越えた末に得られたものだった……。


すべての始まりは、一年と少し前に遡る。その頃のアレックスは異能の少年などではなく、ただの花遊びの貴公子だったのだ。





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