デートで観覧車に乗ったら彼女がおならをしてしまった! 俺「助けてAIアプリさん! 正しい対処法を教えて!」
今日は彼女と遊園地デートに来た。
ここの観覧車8番ゴンドラは、一緒に乗ったカップルが必ず結ばれると有名だ。
この日のために3ヶ月前からチケットを予約していた。
告白スポットの観覧車に彼女と乗るなんて、緊張で汗が止まらない。
でも、愛しの彼女が隣で笑顔を見せてくれる。きれいな景色も拝める。ここが天国か。
ゴンドラがゆっくりと上昇し、ハートがハードなビートを刻む中、突然――。
プゥ〜
と、間抜けな音がした。
俺じゃないぞ。観覧車には俺達二人しかいない。
彼女を見ると顔を赤らめ、視線を斜め下に向けて気まずそうにしている。
フォローしなきゃ!
でもこの状況で何を言えば正解なのか分からない。下手したらこのまま気まずくなってお別れ!?
今から入れる保険があるなら100万払う。
頭が真っ白になった俺は、スマホを取り出してAIアプリを起動した。
「へいAI様全知全能の神さまでもなんでもいい! 助けて! 観覧車で彼女がおならをしてしまった時の正しい対応を教えて!」
彼女が驚いて俺を見つめる中、ゴンドラ内に冷静な機械音声が響く。
AI【おならは生理現象です。人間が健康である証拠と言えます。彼女に優しく伝え、気まずい雰囲気を和らげましょう。】
なんてお優しい答えなんだ、AI。
「え、えーと。生理現象だから気にしなくていいよ!」
「ちょ、なんでそんなことアプリに聞いてるの! そしてなんでそれをそのまま言うの?」
「だって、俺にはどうすればいいのか分からなかったんだよ! AIのほうが俺より頭いいから教えてくれるかなって」
シーンと静まり返る観覧車内。
彼女は肩を震わせ、吹き出してしまった。
「あははは、まったくもう。久しぶりに笑いが止まらなくなっちゃったわ」
気まずい空気が消え去って、和やかムードに変わる。
今なら言える。観覧車マジックに頼るときだ!
「詩織! 俺はこんなふうに笑い合える家庭を築きたいんだ。俺と結婚してくれ!」
「はい。喜んで」
彼女は指先で目元の涙をすくい、きれいに笑った。