雪山の中腹で見つけた穴の底にあった物
狩りに出かけた男たちが雪山の中腹で、地の底まで通じてるのではと思うほどの深い穴を見つける。
穴の中に何か獲物が潜んでいるかも知れないと、男たちは恐る恐るとだが穴の中に入ってみた。
穴の中に獲物は潜んでいなかったが、穴の底に巨大な建築物があるのを男たちは見つける。
その報告を受けた私は部落の者たちを連れて穴の底に下り、巨大な建築物の扉を男たちが無理矢理こじ開けようとしているのを見ていた。
バキバキバキバキ!
扉が無理矢理こじ開けられる。
建築物の中には数え切れない程のカプセルが並び、1つ1つのカプセルの中には凍りついた人が1人ずつ横たえられていた。
文字が読める少数の者たちと共に、カプセルの中に凍りついて横たえられている人たちは何なのかと調べてみる。
建築物の中を引っ掻き回して見つけた資料によれば、カプセルの中で凍りついて横たえられている人たちは今尚続く氷河期の初期に、人工冬眠を行うことで氷河期をやり過ごそうと考え実行した人たちだと分かった。
此処で人工冬眠を行っている人たちの数は約10万人。
見つけた資料には此処以外にも同じ目的で造られた建築物が多数ある事も書かれている。
私たちの一族が昔から狩りを行っていたこの雪山周辺だけでも数カ所あるみたいだ。
「婆様!」
資料に書かれている文字を呼んでいる私に男たちの1人が声を掛けてくる。
部落の者たちはカプセルの中で凍りついている人たちを、否、肉をカプセルを叩き壊して引きずり出し私の方を見ていた。
「ああ、構わん食え」
部落の者たちに引きずり出された肉を食べる許可を出す。
私はこの穴の中に住処を移す事を考えている。
此処の建築物や雪山周辺にある同じような建築物を見つけ出せれば、私が率いる一族は食料に困る事無く末永く繁栄出来るだろうから。