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第7話:プレゼントの花束

【プレゼントの花束】

女性は花が好きらしい、とは別作品でも書いたが、妻は花が大好き。(あくまでも花束であって鉢植えの面倒は一切見ない)

何かのイベント事には花束を添えれば喜ぶこと間違いなし。最も簡単で、最も間違いのないプレゼント。

さて、今日も花束で笑顔になってもらおうか。

 妻のバレエ発表会がやってきた。


 全くの趣味でやっているものだが、発表会に向けて何か月も練習してきたのだ。納得いく演技ができるといいね、というかこういうのって出演者に花束とか持って行った方が良いのではないか。あれ? 渡す機会なんてあるのかな。


 まあ、会場で渡すことができなければ家で渡せば済むことだ。行きつけの花屋で花束を注文する。


 会場にはすでに多くの人がいて、大きな花輪やお祝いのスタンド花がいくつも飾られていた。受付の横には大きなテーブルが用意されており、出演者への花束やプレゼントがたくさん置かれている。どうやら一括で楽屋に持って行き渡してもらえるらしいが、そんなことをさせてたまるものか。


「直接渡したいんですけど良いですか?」


「ええどうぞ、本人もその方が喜ぶと思います」


 受付に確認をとってそのまま花束を抱えて会場に入る。花束を持った男が客席でバレエを見てるってどうなんだ。まるで演目が終わったらプロポーズでもするみたいじゃあないか。あれ? 楽しいな。そんな勘違いをさせるような行動でもしてみようかな。


 だがそんな楽しいひと時も束の間、バレエの演目は休憩を挟んで全部で5時間もあった。気のせいかもしれないが花もくたびれてきている。これは預けた方が良かったのではないか? いやいや、直接渡すことに意味があるんだ、第一そうしなければ妻の笑顔が見れないじゃあないか。


 ようやく公演が終わり、ロビーで妻を待つが一向に出てくる気配がない。演者が何人か出てくるだけで客もぞろぞろ帰っていく。妻に電話をかけてみると、会場を借りられる時間が決まっているためすぐに撤収しなければいけないとのこと。仕方がない、しおれ気味の花束は家で渡すしかない。


 しばらく待つと妻が帰ってきた。玄関で花束を抱えて待つ私。扉が開く。いよいよこの瞬間がやってきた。待ちに待ったよこの瞬間を!


「ただいま~、荷物が重いぃ~、持って~」


 扉を開けたとたん、妻がたくさんのバッグと抱えきれないほどの花束を渡してきた。


「え? え? 何この花束」


「会場に飾ってあった花、いらないっていうから貰ってきちゃった~」


 ニコニコの妻。今、そのたくさんの花に私の花束が埋もれているんだが。


「嬉しいなー、こんなにたくさんの花」


 ……完全に渡すタイミングを失った。


 その後、私の花束は何やらやたらとデカくたくさんある花束の横にオマケのように飾られることになった。


 まあ、いい。


 泣いてなんかない。

あと3回続けたい。次回、スキンシップ。お楽しみに。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 好きなお花なら妻も気づくはず……
[一言] これは……泣ける! 泣くのをこらえるのが美徳の男の子?だったとしても、今日は泣いていい!
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