第4話:たくさんの荷物
【たくさんの荷物】
出かける時に荷物は不必要だ。最低限お金さえあればなんとかなるから。旅行でもそうだし買い物だってそうだ。軽そうなものでも長時間持つと負担になるものなのだ。
だから私はいつも手ぶら。手ブラーのプライドにかけて、今日も荷物は置いていこう!
※この作品は ひだまりのねこ作 「カバンがパンパンなのです」のオマージュです。
https://ncode.syosetu.com/n7238hb
今日は妻とのお買い物。
と、いっても私が買うものなど何もない。妻の買い物に付き合うだけだ。
久しぶりの電車だ、本でも読みたいところだが荷物になるのでやめておこう。
私は荷物を持ちたくない。カバン、本、スマホ。できれば財布だって持ちたくないが、スマホと財布だけは持って行くしかない。スマホは会社の緊急連絡用に、財布は交通費や商品購入のために必要だ。
私の準備はあっという間に終わる。何しろ持って行く物がないのだから。
ところが妻の準備は時間がかかる。洋服選びから化粧から。どれだって同じだし、化粧なんてしなくていいと思ってはいるのだが、決してそんなことを言ってはいけない。
「その服カワイイね」
着飾った妻に言ってみる。
「ホント?」
「君の方がカワイイけどね」
嬉しそうな妻の顔が見られるのなら何でも言おう。服の準備ができると次は持ち物の準備だ。妻が荷物を用意し始めるがソレ、必要なのか?
「傘いるかな」
いらないよ、今日は1日晴れだよ。え? 日傘? いるの? いらないんじゃないの? いるの?
「あ、お茶作らなきゃ」
街に行くんだからお茶なんかどこにでも売っているだろう。なぜわざわざそんなに重い水筒を持って行かなければいけないのか。
「絆創膏忘れてた!」
いやいらないから! 靴擦れするような靴を履いて行かなければいいだけだし、例え怪我をしたって絆創膏ですむ程度の傷が我慢できないでどうするというのだ。
「書くもの、書くもの」
おいおい、スマホにメモればいいだろう。というかそのデカいペンケースは何だ! そんなものは置いていけ。
「お化粧セットと保湿クリーム、あと生理用品」
化粧箱デカいな!というかそもそも化粧品がいるのか。そしてその小型のスーツケースは何だ。まさかそれに入れて持って行くというのか。
「だって買い物したらコロコロが付いたカバンの方が楽じゃない?」
くっ、確かに一理ある。だがいったい何をそんなに買うというのだろう。まあいい、お互い大人なんだし好きなようにすればいいさ。妻が買い物している間、手ブラーな私はそこいらをのんびり歩くとしよう。
そして家を出て1歩目。
「カバン持って?」
オ・レ・が・持・つ・ん・か・い!
次回、結婚のあいさつ。お楽しみに。