ルンルン、キノコ狩りに行く
人里離れた山の麓にひっそりと佇む藁ぶき屋根の古い家。
そこには仲のいい夫婦が暮らしていた。アヒルのルンルンとカッパのパッパだ。
二人(2匹?)とも自分を人間だと思っている。
二人の住む家は山に囲まれていて、青々とした緑に覆われたのどかな場所だ。
パッパは朝早く起きると山登りの準備をしだした。
「パッパ、今日もいい天気だね」
「そうだね、絶好のお出かけ日和だ。今日はキノコ狩りに行くよ」
二人は仲良く手をつないで山へと入っていった。山道を少し登ると、天を覆うかのような立派な大木が生い茂っている。ルンルンが木の根元に生えているキノコを見つけて嘴を近づけてクンクンと嗅いだ。ルンルンは鼻が利く。
「あっ、これは食べられないヤツだ。ちょっと変なにおい」
「どれどれ?」
パッパはスマホをキノコに近づけて写真を撮った。『パシャ!』
「おっ、ほんとうだ。これは『レピオタ・ブルニオインカナタ』といって、毒があるから食べてはいけない。食べたら魔界へ通ずる穴へと落ちてしまう」
「えぇーっ!? 毒なんだ……。分かったわ!」
ルンルンは元気よく返事をして再び歩き出した。
すると、すぐまたキノコを見つけてクンクンと嗅ぎだすルンルン。
「えーっと。不思議な臭い。これも食べたらダメなやつだ」
「見せてごらん。『パシャ!』ああ、そうだね。これは『シャグマアミガサタケ』と言って、脳みそそっくりの姿をした毒キノコだ。美味だが猛毒がある」
ちょっとしょんぼりするルンルン。
「ねえ、パッパ。さっきから何を撮っているの?」
「ああ、これね。これは『図鑑アプリ』だよ。スマホで写真を撮ると植物や動物の名前が分かるんだ」
「へー、面白そー! パッパ、ちょっと貸して!」
ルンルンはパッパからスマホを借りて、手当たり次第にそこらじゅうに生えているキノコの写真を撮り出した。鬱蒼とした繁みにはたくさんのキノコが生えている。
パシャ! 「ブリーディング・トゥース!」
パシャ! 「キツネノロウソク!」
パシャ! 「ウスキキヌガサタケ!」
パシャ! 「カッパ!!!」
「パッパー。パッパはカッパだって。あははははは」(●^o^●)
キノコの撮影に飽きたルンルンがパッパの写真を撮ってはしゃいでいる。
「なーに言ってるんだ。スマホAIも完全じゃないからね。たまには間違うこともあるさ」
パッパはスマホを手に取り、今度はルンルンの写真を撮ってあげた。
パシャ! 「アヒル!」
「あはは。ルンルンはアヒルか。確かにアヒルに似てるね。ふわふわな羽毛のようなお手てなんかアヒルにそっくりだ」
「ふーん。AIって面白い間違いをするんだね」
「ああ、そうだね。可愛いアヒルちゃん」
ルンルンは嬉しそうに羽をパタパタさせて背伸びをした。
終わり
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